それはなんてことない、X100Vのファインダーを「OVF=光学ファインダー」にして「撮影後モニターをオフ」にセットする、それだけです。そんなことか?と言われそうだけど、これがなかなか楽しいのです。
そう、感覚的には富士フイルムの「写ルンです」で撮る、アノ感覚。ピントもあまり気にしない。撮影した後の写真も確認なんてしないから、次のシャッターチャンスを求めて歩き出す。あのリズムがなんとも楽しいです。
十数万円もするデジカメで、なんであえてそんな機能を封印したような使い方をしないといけないのか?と言われそうだけど、そもそも富士フイルムのカメラは「フィルム時代の、あの写真を撮る歓び」みたいなものをリスペクトしてカメラ作りをしてるんで、フィルムカメラ的に使うほうが心地よく作られている。僕はそう感じている。
だから、そもそも手ぶれ補正がない機種もあるし、見た目にアナログ的感覚で露出を決められるダイヤル類が並ぶわけだけど、写ルンです的に使うという意味では、このダイヤル類さえほぼ使わず(最初に露出をセットするか、オートにセットする)、そう、フィルムシミュレーションだけ「その日詰めるフィルムを決める」かのようにセットする。あとはひたすらラフにシャッターを押すだけです。
で、撮った写真は、その日帰宅してからSDカードをiPhoneやパソコンにつないで初めて見るわけです。写真データを取り込んで初めて「お、きょうはこんな写真が撮れたのか!」とか「あ、あの時の光はこんな風に写ったのか!」とか、言いようのない歓びが込み上げてくる。そう、フィルムが現像から上がってきた時のアノ感情です。
いや、それならフィルムカメラで撮ればいいじゃないか!というのも大アリです。オート感覚で撮れるコンパクトなフィルムカメラとか、それこそ写ルンですで撮るなら最高ですね。でも、フィルムコストが気になる人もいるし、身近にフィルム現像ができない人もいる。だから、デジカメでフィルムライクに楽しむのも現代の写真の楽しみ方だと思う。僕はこのハイブリッドに楽しめる環境こそがテクノロジーの恩恵だと思ってる。
フィルムで撮るもよし。デジタルで撮るもよし。その二つをハイブリッドに楽しむもよし。写真と、写真を撮るプロセスを、じぶんなりに楽しめる方法で満喫する。そういう選択肢とか多様性という意味でカメラの進化には期待してる。
X100Vで写ルンです的にラフに撮ると、家に帰ってから写真を眺めると失敗写真も実にたくさんあるわけだけど、失敗してもフィルム代や現像代は無駄にならないから、そこはやっぱりテクノロジーのおかげ。盛大に失敗して、デジタル写ルンです的な写真プロセスを楽しみ尽くしてみてはどうだろう。なかなか新鮮な気づきがあると思うよ。
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