カメラへの思い

デジカメも、なぜクラシックなスタイルのものが好きなのか。

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Nikon Zf

あくまで僕の場合の話だけど、これはもうシンプルに「フィルムカメラからの残像を追いかけている」ということだとじぶんでは考えている。

これは僕がフィルムとフィルムカメラを通過したことで、カメラ(フィルムとデジタル問わず)に対して抱く大前提みたいなものになっていると思う。

数年前、フィルムの高騰が起こらなかったら、もしかしたら今もほとんどの写真をフィルムで撮っていたかもしれない。その頃はデジカメといえばRICOH GRしか持っていなかったから。

けれど、僕の場合はとにかく「シャッターを切る瞬間」に歓びを感じている人間だったから、朝晩に家の近所を散歩する時ですら、その特に変わり映えのしない光景をフィルムで撮っていたわけで、これはさすがにもったいない状態でもあった。

そこに、フィルムの値上げが押し寄せたから、ちょっと困ったなと思った。フィルムカメラで写真撮影する時に得られる「あの歓びの要素」をどうやって維持しようかと。デジカメでも可能だろうか?とちょっと考えた。

Hasselblad 500CM, Nikon FE

考えた結果、僕が出したひとつの回答が「デジカメにマニュアルフォーカスのレンズをつけて、フィルムカメラのように露出をじぶんで決めて撮ってみたらどうなんだろう?」ということ。

デジカメに詳しい人なら「なんだ、そんなことか」と呆れられるかもだけど、当時の僕はフィルムカメラで撮る所作のことしかイメージが無かったし、デジカメは絞り優先とかオートで撮るモノだと認識していたので。

Nikon D300にオールドニッコールをつけて。

で、モノは試しだ!ということで、キタムラで安いNikon D300を買ってきた。2万円もしなかったんじゃないかな。そのボディに恐る恐るフィルムニコンで使っていたAi Nikkor 50mmをつけてマニュアル撮影してみたんだよね。そうしたら、これが想像以上に楽しかった。あ、いいじゃん!と。

ネガフィルムみたいにラティチュードは広くないから、露出設定自体はかなり狭くシビアなんだけど、それがポジフィルムのようで逆におもしろかった。ISO感度を途中で変えることができるのも、やけに新鮮だった笑。

Nikon D300

これで「デジカメでもフィルムカメラのように楽しめる」という確信が芽生えた。もちろん、描写のほうはフィルムとデジタルでは異なるけど、あのフィルムカメラのシャッターを切るような所作の歓びは、デジカメでも得られそうだと感じたのだ。

それで、次に行動に移したのは、Nikon D300のようにモードダイヤルじゃなくて、フィルムカメラのようにダイヤルオペレーションのデジカメが欲しいなと考えた。レンズはフィルムニコンのものがたくさん手元にあるから…そうなると、もう選択肢はただひとつ、Nikon Dfを手に入れようと考えたのだ。

Nikon Dfの特徴的な露出ダイヤル。
届いたNikon Dfに、マイレンズを装着。
Nikon Df

もう次の日にはいつものキタムラの店員さんに相談していたと思う。お店でショーケースの中に展示されていたNikon Dfを触らせてもらい、シャッターを切ってみたら、これまた感動。展示品しか在庫がないとのことだったので新品のブラックボディを注文して数日間到着を待つことに。店員さんもキタムラ内の在庫をあれこれ移して調整してくれ、すぐにDfは入手できた。

ここまで読んでもらえば、僕がなぜいまFUJIFILMの写真機などを好んで使っているかはわかってもらえると思うし、PENTAX機にしても、M型デジタルライカにしても、Nikon ZfやZfcにしても、ぜんぶ原点はそういうところ。レンズもマニュアルフォーカスで、開放なんかにクセが強くある中国製レンズなんかを好むのも、すべてはフィルムカメラ使用時の名残だ。

Nikon Zfc, XF18mm f2R
Leica M typ240, Summicron 50mm f2 1st
FUJIFILM X-Pro2, Nokton 23mm f1.2 SC

特にFUJIFILMのカメラが好きなのは、その写真機的なデザインやダイヤルオペレーションだけでなく、描写のほうもフィルム撮影の面影を感じられるから。そりゃ、実際にはプロビアもベルビアもアスティアもフィルム描写のそれとは異なるけど、めざしてる方向は同じだと思うと、やはり気持ちはあったまる。RAW現像するよりも、フィルムシミュレーションにのっかるのが大事みたいな笑。

世の中はどんどんハイテク化していて、最新のハイスペックミラーレス機の高度な機能などを考えると、もう僕なんかはほんと時代に乗れていないダメな写真愛好家なんだけど、本人的にはデジカメでフィルム撮影気分を味わえることが趣味として重要なわけで、ロースペックなスチル用デジカメで十分満足している。

フードも装着。PENTAX K-1 Mark II, Super Takumar 55mm f1.8, マウントアダプターK
PENTAX K100D, K10D

まあ、こんな話が誰かの参考になるのかは分からないけど、なぜ僕がクラシックなスタイルのカメラ(フィルムとデジタル問わず)にぞっこんなのかというのを、ちょっと備忘録的に書いてみた。

いま考えると、やっぱりあのNikon D300とNikon Dfを手にした頃がターニングポイントだった気がする。あそこで「あれ、デジカメでもフィルムカメラ的に楽しめるじゃん」と思わなければ、僕はもしかしたらフィルムの高騰と共にカメラと写真から遠ざかっていたかもしれない。だから、やっぱりNikonには思い入れがある。

Nikon Df, Nikon F

僕が使っているカメラの中には、ダイヤルオペレーションじゃないものや、一眼レフじゃないものもあるけど、じぶん的にはどれもどこかしら「クラシックなスタイル」を感じとれると考えているものばかりが揃っている。レンズもどこかズームレンズは疎遠で単焦点レンズがほとんど。

もう、こうなると、いまさら時代にフィットしたハイテク機器を華麗に操作する最先端写真愛好家にはなれないから、このままのスタイルで人生を撮り続け、カメラを楽しみ続けようと考えている。万一、そういう同じ嗜好の人がいるなら、このブログ「記憶カメラ」はフィットするかも。まあ、少数派だとは思うけど笑。

まだフィルムカメラもたくさん手元にあるし、フィルムも状況が許すかぎり撮り続けたいと思うけど、日々の散歩なんかには手軽にシャッターが切れるデジカメがある安心感はやはり大きい。フィルムとデジタル問わず、写真とカメラが楽しめる奇跡のような時代を楽しむのだ。

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