
写真はかつてのように専用カメラを持っていなくても、いまやスマホカメラで誰もがサッと目の前の光景を画像として記録することができる。しかも、撮ったその場でSNSなんかに写真画像を簡単にシェアできるから、そういう意味では文字通り「スマート」だ。
でも、その一方で、そんなスマート撮影とは対極にあるともいえるフィルムカメラなんかが若い人にあいかわらず人気だったりも。オート撮影できるフィルムコンパクト機も多いが、なかにはじぶんで露出を決めてマニュアル撮影する機械式カメラを愛用する人も少なくない。
撮った写真はその場で確かめられないばかりか、現像ラボなんかにフィルムを持ち込み、現像あがりまで数日待つなんて状況もあったりするが、その「すぐ写真が見られないワクワク感」がいいと言う。デジカメなら失敗写真?と思われそうな露出やピンの甘い写真も、フィルムなら感覚的に「アリ」なのもおもしろい。

そんな面倒さみたいな手間も、たぶん趣味なら許されるのだ。いや、趣味だからこそ、簡単に過不足ない写真画像が撮れてしまうよりも、ちょっと苦労したり実験のようにじぶんなりに露出調整などして、どうかな?上手く撮れてるかな?なんて不安に苛まれながら撮るのが楽しいんじゃないかと思う。どうだろう。
そんなフィルム撮影まではいかずとも、デジカメでもマニュアルモード撮影なんかにして撮ると、けっこう楽しめる。僕も今朝は、FUJIFILM X-Pro3でマニュアル撮影をしながら辺りを散歩し、おっ!とかワッ?とか一人でニヤニヤしながら撮り歩いていた。
僕はデジカメでよくマニュアル撮影をするけど、理由は至ってシンプルで「フィルム撮影の擬似体験」みたいなものを楽しんでいる。フィルムカメラそのものでもたまに撮影を楽しむが、なんの変哲もない近所の散歩道で撮影を楽しむなら、当然ながらデジカメのほうが手軽でコスパもよい。

マニュアルモードで撮る時は、まさしく機械式のフィルムカメラで撮る時と要領は同じだ。その日の感度を決めて、絞り値とシャッタースピードをじぶんでダイヤルを回して合わせる。露出計は使わずに、基本は体感露出、いわゆる勘露出というやつだ。
今朝は感度をISO200に固定。ふだんは大抵、ISO100、200、400、800、1600からその日の天候や時間帯に合わせて固定する。要は「装填するフィルム感度を決める」という行為だ。そして、フジ機であればその日装填するフィルムを決めるようにフィルムシミュレーションを固定する。今朝だと「クラシックネガ」にした。
で、僕の場合はフィルムカメラだと大体シャッタースピードを固定して、露出は絞り値を変えて露出調整するスタイルが多い。機械式フィルムカメラだとシャッタースピードは1/500s近辺のものが多いから、大抵どのカメラでも1/250sか1/125sあたりで固定して撮る。なので、レンズの絞りはよほど暗所じゃないかぎり開放で撮ることは少なく、f4とかf8、空ならf11とかf16まで絞って撮る。

フィルムカメラではそんな要領で撮っていたから、勘露出でも概ね適正露出は分かる。ネガフィルムならラティチュードが広いから多少露出がアンダーやオーバーにふれてもまあ撮れるけど、デジカメだとそのへんはシビアだから、たまに(いや、けっこうか笑)露出を間違うが、それが実験のようで楽しいのである。
まあ、デジカメなら現像に出さなくても、EVFとか背面モニターを見れば、その場で露出が合っていたか確認できるから、これはやはり便利ではある。そうやって、フィルムカメラで撮る露出感覚を忘れないように?キープしているのだろう笑
で、そこまでマニュアル撮影ができるかどうかは分からないけど、いわゆるフィルムカメラ感覚でデジカメ撮影が楽しめるコンデジがFUJIFILMから発売される。話題の「X half」である。

正確にいうと「絞り優先モード」や「プログラム(オート)モード」で撮れる仕様なのかな。上記のように「シャッタースピード優先モード」のようなss固定で絞り値をずらして撮り続けられるかは分からないけど、まあ「フィルムカメラモード」にするとOVFで36枚とか撮り終えないと撮った写真を確認できない仕様らしいから、富士フイルムもあいかわらずやってくれるなと笑
この場合、写真の仕上がりの雰囲気もそうだけど、いわゆる「撮影体験=プロセス」を楽しんでるから、細かいことよりも気分やノリが大切だ。そして、それは趣味の世界という意味ではけっこう大きな価値だったりもする。トイカメラ?と捉える向きもあるみたいだが、ここまで極めれば僕はアリかなと思う。ちょっと値段はお高いけどね笑
僕は所有しているデジカメでふだんからマニュアル撮影をけっこう楽しめてるから、小さなセンサーのX halfを買うかどうかはまだ分からない。単純にX halfが我が家に来ると、出番が減るスナップ用コンパクト機も出てくるから。まあ、いずれにしてもX halfはお店で触って試してみたいけど、お店に並ぶ頃にはもう品薄で手に入らないだろうなあ笑
そんなこんなで、デジカメでもマニュアル撮影を楽しむレア?な人間だから、シャッタースピードダイヤルと絞りリングは物理的にあるとうれしい。すべてのカメラとレンズをそうしてとは言わないから、そういう製品も一部選べるようなラインナップにだけはしておいてほしいのだけど、カメラメーカー各社さん、どうだろうか?