
なにやら富士フイルムがまたやってくれた。GFX100RF、X halfに続いて、こんどは「写ルンです+」なるサービスを発表したのだ。どれもがあまりに思いっきりのいいコンセプトゆえに、そうじゃないとかご意見も散見されるが、まあ、カメラ界や写真界隈に風を吹かせていることは間違いない。
僕自身は「選択肢が増える」ということ自体が、なんにしても良いことなんじゃないかと思ってる。写真趣味とひと口に言っても、10人いれば10人それぞれの楽しみ方や置かれている環境があるからね、そこは「こうあらねば」なんて一括りにするほうがむずかしい。
「写ルンです+」に関していえば、家の近所や通学通勤経路に現像ラボがない人もかなりいるだろうから、そういう人たちにしてみればコンビニで富士フイルムの現像出しができることはやはり便利で気軽だろう。ネガが手元に欲しい人は、他の現像サービスを使えばいいだけだからね。
この新サービス「写ルンです+」の発表に合わせて「写ルンです」そのもののブランドムービーも公開されていて、これがまた「らしさ」全開みたいなカジュアルさで、個人的にはとてもニヤニヤしてしまう。高価なハイテクカメラとは異なる「遊び」な感じが、ただただいいなあと思う。そして、それは万国共通みたいな雰囲気も。
少し前にパッケージなどが刷新されたけど、それはこのタイミングでのリブランディング的なプロモーションのブーストのためでもあったんだなと。Xにもポストしたけど、若い社員さんのアイデアとか意見を汲み取って製品開発やサービス開発を行っているようにも見えて、大企業・富士フイルムにも「風」を感じる。
僕も最近でこそフィルムで撮る時は「貴重」だからという感覚もあって、ここぞというシーンだけ使ったり、カメラもライカM3など吟味して使うことが多いけど、以前は写ルンですもけっこう使ってた。そして、そのラフな撮り方な感じが、いま考えても「なんともいえないリアリティな空気の写真」を紡ぎ出してくれていたように思う。
不思議だよね。露出は固定だし、レンズもプラスティックで、ファインダーも完全素通し。これを「カメラ」と言っていいのか?という仕様なんだけど、これが写りは絶品というカメラ界最大のミステリー笑。でも、これでアナログ写真にハマった人も多いはず。


そうそう、僕は何年か前に発売された限定キットも持っている。これがまた、なんともいえずチャーミングで、こういう視点が現在のX halfなんかにも通じているようにさえ感じる。フィルム屋、写真屋FUJIFILMにはやはりなにか不変的なものが息づいていると感じるのは僕だけだろうか。
欲を言えば、製品がなかなか品薄で手に入りにくいところだけど、まあこのあたりは「世界的に人気ゆえ」という部分もあるから、ただただ富士フイルムの努力不足なんて言葉で片付けては酷かなと思ったり。部品調達や為替事情については、なかなか一企業の努力だけではクリアできないからね。
とにもかくにも、ちょっと「風」を感じるいまの富士フイルム。新しいことを突き詰めたり、それによって割り切ることなどが出てくると異論反論もあったりするが、市場ほどリアルな実験場はないので、いろいろと果敢にチャレンジしてほしい。ワクワクとは、見たことのない世界にこそ強く感じることだから。