FUJIFILM X-Pro2 レビュー

FUJIFILMにはX-Pro2という名機が存在する。

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FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

イブだった昨日、僕のもとへやって来たFUJIFILM X-Pro2を、クリスマス当日の朝、少し散歩へ連れ出してみた。装着したのは、Xシステム最初の伝統のレンズ XF 35mm f1.4 Rだ。

このレンズはX-Pro1とX-Pro3にも最も高頻度で使ってきたレンズだから、X-Pro2との使用感の比較にもいいと思ったし、X-Proシリーズといえば最初の一本はやはりコレだろう、という思いもあった。

外へ連れ出してシャッターを切ってみた感想は、決して大袈裟ではなく「最高だ」という一言に尽きる。シャッターフィールに関しては、X-Proシリーズのなかで最も気分があがるものと言っていいだろう。

FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

二段階的な抑揚のあるX-Pro-1のシャッターフィールから、X-Pro2はおそらく連写を意識した一段階のシャッター音へと変化している。そのフィーリングはX-Pro3に近いが、X-Pro3がやや低音のマットな味付けになっているのに比べ、X-Pro2はもう少し高音でややショックも大きい。これが、いかにも官能的で心地いいのだ。

X-Pro1の半ツヤ黒塗装よりさらに艶と深みが増したX-Pro2の半ツヤ黒塗装は、冬の早朝の少し暗い屋外だと、漆黒に溶け込むような存在感で、なんともワイルドでカッコいい。これはいかにもストリート向けで、まさに闇夜の街に溶け込む仕様だろう。僕はそこまで計算されたデザインだと感じる。

そう考えるのも、富士フイルムの上野隆さんがX-Pro2発売当時にマップカメラさんの開発者インタビューに答えた記事を読んだから、というのもある。そのこだわりようたるや、市販製品としては尋常じゃない。インタビュー記事はPart1から4まであるが、残念ながら上手くリンクが貼れなかったのでネット検索してもらえたらと思う。

FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

描写のほうは第三世代のX-Trans CMOSとシンプルなフィルムシミュレーションがいい味を出している。クラシッククロームとアクロスもX-Pro2から載せられていて、X-Proシリーズが旗艦製品であることを再認識する。少ししっとりとした第三世代センサーの描写を好む人はいまでも多く、僕がかつて気に入って使っていたX-T2を思い出した。

FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R
FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R
FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

EVFとOVFを切り替えて使える独特のハイブリッドビューファインダーも、このX-Pro2からOVF時に右下にEVF小窓が現れるエレクトリックレンジファインダーがついた。OVF時でも二重像に変わって小型液晶画面でピント合掌を確認できるシステムだ。これがあるとパンフォーカス以外でも近接撮影でOVFを積極的に使うようになる。

FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R
FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R
FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R
FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

あと、細かいところでいえば、記録メディアのSDカードがダブルスロット化され、X-Pro1のようにバッテリー室ではなくボディ横に挿入口が別途設けられた。いまとなっては当たり前の仕様だが、X-Pro1とほぼ変わらないサイズの中にこれを詰め込んだのは相当な苦労だったと開発者インタビューでも述べられている。

画素数も2000万オーバーとなり、こうした随所のこだわりはあるが、一見するとX-Pro1からの見た目の変化はそれほどなく、それはX-Pro3にも継承されている。つまり、X-Pro3の隠し背面モニターや小窓液晶を除けば、もうX-Pro2の時点で成熟した写真機に仕上がっていたとも言えるのだ。

それゆえに、写真機として使う分には、9年が経過したいまでもなんら問題はない。というか、余計な機能が省かれてファットな要素を削り込んだ究極のスナップシューターともいえる。いまだに人気なのもうなずける作りなのだ。なんなら、このままでいいので再販したら、現在でも売れまくるのではないかとすら思う。

FUJIFILM X-Pro2, XF 35mm f1.4 R

カメラは写真を撮る道具にすぎないとも言えるが、趣味のカメラはそこに「感情や思い入れ」がのっかる。やはり、気持ちがあがるカメラは、もう一歩踏み出したり、もう数時間撮り歩いたりと、やはり撮れる写真に影響を与えるのだ。

このX-Pro2は、それを絵に描いたようなカメラ。間違いなくカメラ史に残る名機だろう。このカメラを手にすることは、カメラ史の目撃者になることでもある。少々プレミア価格になっているX-Pro2だが、縁があればぜひ一度体感してほしい、唯一無二のカメラの世界である。

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