FUJIFILM X-Pro1 レビュー

X-Pro1、X-Pro2、X-Pro3それぞれの良さが宿る。

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FUJIFILM X-Pro3, TTArtisan AF 27mm f2.8 Titanium Black

FUJIFILMのX-Proシリーズは、Xシリーズのなかで最も「らしさ」が詰まった、富士フイルムのXマウントシステムをここまで確立させた大黒柱的カメラだ。

いまはX-Pro3も終売となり、X-Proシリーズの現行機が無い空白の期間なので、残念に思っているカメラユーザーも多いと思うし、後継機のX-Pro4?の登場を待ち侘びている人も多いだろう。

これまで歴代3台のX-Proシリーズが世に送り出されてきたが、X-Pro1、X-Pro2、X-Pro3の全3台を使っている僕の感想としては、これは古いとか新しいというものさしよりは、3台それぞれに良さがあると感じている。

FUJIFILM X-Pro1, XF 35mm f1.4 R

もちろん、10年間ほどの軌跡のなかで、その時代の最新スペックへとアップデートされているから、そういう意味での古さや新しさはある。けれど、だからといってX-Pro1やX-Pro2が現在では使いづらい型遅れ製品か?と聞かれれば、まったくそんなことはないと僕は答えるだろう。

X-Pro1の抑揚のある二段階的なシャッターフィールは最もフィルムカメラらしさが感じられるし、初代X-Trans CMOSの描写もそれこそフィルム描写の延長線上のような趣のあるもので、いまだに初代センサーの描写を好む人も少なくない。

そして、そんなX-Pro1のすべてをリファインして完成形として出てきたX-Pro2は、どこをとってもいまだに欠点と思える箇所がない。OVFの隅に小さなEVFでピント合掌を表示するエレクトロニック・レンジファインダーもX-Pro2から生まれ、ACROSモードも搭載してフィルムシミュレーションもさらに本格化していった。

FUJIFILM X-Pro2, Nokton 23mm f1.2 SC

使っていると、いい意味で人間臭さを感じるカメラで、このフィジカルな感覚は日常の息づかいを切り取るストリートスナップの撮り手たちに溺愛されたことがしみじみと分かる。つまり「名機」だ。

こうしてX-Pro1とX-Pro2と比べると、X-Pro3の立ち位置も単なる進化じゃないことが鮮明になる。開発者たちの意図は、単に画素数を上げるとかAF性能を向上させるといった予想を遥かに超えて、より「写真機」の所作や感慨を彷彿とさせる隠しモニター構造のカメラを送り出してきたのだ。

まさに、見た目こそ同じに見える3台だが、そこに込められた意図は単なる正常進化ではなく、スナップ撮影を楽しむ「気持ち」にフォーカスしたその時々の思想が注ぎ込まれているのだ。

FUJIFILM X-Pro3, Nokton 23mm f1.2 SC

だから、X-Proシリーズについては、いまだに意図してX-Pro1やX-Pro2を使う人も多くいる。実に素晴らしいことである。そして、終売となったX-Pro3の中古モデルには高値が付きつつも、それをまたあえて手に入れている人も多く見受けられる。僕らの心のラインナップには、いまだ3台とも健在なのだ。

意外とこういうカメラは、ありそうで無い気がする。だから僕もいまだにこの3台をローテーションしながらすべて楽しんでいる。そんな同じようなカメラを3台も使う意味はあるの?と言われれば、「ある」と上記のように答えるのである。

FUJIFILM X-Pro3

幸いこの3台はバッテリーも共通なので、そこもローテーションするには使い勝手がいい。おそらく、次のX-Pro4?が出るとしたら、ある意味、これらの3台とはちょっと異なるジャンプの仕方をすると個人的には予想しているので、そういう意味でもこの3台を「ひとつの時代」ととらえて、大事に使い続けたいと思う。

そう、壊れるまではいつまても。趣味のカメラに関しては、必ずしも新しいモノが最良ではなくて、それは使い手それぞれの嗜好によって決められ、思い入れへと昇華していくのだ。X-Proシリーズとは、そういう「思い」を込められる個性こそが、最高性能なのである。

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