この場合の“Ueno”とは、もちろんアノ上野さんのことである。長らくFUJIFILM Xシリーズの企画開発をリードされてきた上野隆さん。多くの富士フイルムユーザーが、上野さんの話に耳を傾け、そのカメラ開発に対する思想やこだわりに共感してきたのではないだろうか。
僕ももちろんその一人。僕がこれだけFUJIFILMかカメラを好んで使っているのも、上野さんの影響が大きい。いや、大きいどころか、完全にのみこまれたかたちだ。もちろん、いい意味で。
いまはご異動されて直接は製品の企画開発には携わられていないようだけど、インスタグラムとかではフジ機で活発にポートレートなどを日々撮られており、その飽くなき探究心みたいなものにこちらもほっこりする。
で、そんな上野さんの企画開発のおそらく総仕上げであったのがX-Pro3だったんじゃないかと思う。
X-Pro3の開発ストーリーを長編ムービーにしたCamera Punkなどを観ていると、上野さんをはじめ、実に多くの現場のプロフェッショナルの方々、そしてそのスタッフの方々を信頼して見守るマネジメントの方々の熱さが込められて、このX-Pro3というカメラが数々の試練を乗り越えて実現へこぎつけたことがわかる。
そういう意味ではX-Pro3は、X-Aoyama3であり、X-Fujimura3であり、X-Iida3であり、X-Allstaff3なのだと思う。僕はここでは、そんな多くの熱き開発陣の方々を代表してX-Ueno3と書いたが、上野さんの言葉を借りれば、X-Pro3を作り上げた原動力は間違いなく現場の企画開発担当者と開発メンバーの熱さだと。
その熱さは、随所に投入された。いまだに唯一無二のハイブリッドビューファインダー、それに加えて隠しモニターと小窓液晶というギミック、さらにはチタン外装にデュラテクト塗装を施し3種類のカラーが選べるというこだわりっぷり。おまけに「らしさ全開」のクラシックネガという新フィルムシミュレーションまで載せてきた。
まあ、よく言うけど、こんなカメラ、もう二度と市販化はされないんじゃないかな。機能的な時代性なんかはもう置いといて、そんなことを忘れさせるくらいこのカメラには独創性がある。
やはり、とんがったプロダクトや製品は、作り手たちの叫びが走りだしの原点でありパワーなのだ。
まあ、真相は定かではない。けれど、そういう熱き背景を連想させるだけでも、そのパッションは見事というしかない。優れたプロダクトは思いが滲み出て、撮り手の高揚感まで作りだす。
X-Pro3は、そのバックストーリーも含めて心揺さぶられる、過去と未来をハイブリッドしたようなスナップシューターでありデジタル写真機。僕にとっては、いろんな夢や遊び心が詰まった、とても人間味のある一台なのである。
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