ノクトンといえば多くの人はレンジファインダー用の明るいレンズをイメージすると思う。僕もVMマウントのノクトン・クラシックを持ってるから、まさにそのイメージだ。
で、レンジファインダー用のレンズとなるとどうしても接写はむずかしくて、ヘリコイド付きのアダプターでも無ければ、最短撮影距離は基本1mや70cm程度がほとんどだ。二重像を合わせて使うレンズだから、そういうことになる。
でも、この富士フイルムXマウント用のノクトンは異なる。なんと最短18cmまで寄れてしまう。もちろんそこまでは近づくと描写はかなり甘くなるから、まあ25cmくらいが適切かもだけど、寄ろうと思えば18cmまで寄れるように作られているのは、開発者が僕らに選択肢をひろげてくれている、ということだろう。
このノクトンは電子接点を要していて、OVF時のパララックスの補正を含め、いわばX-Pro3用にコシナが用意したレンズ。X-Pro3は正確にいえばレンジファインダーではなくてミラーレス機だから、EVFでピント合わせもできるため、18cmまで接写できるのは現実的なのだ。
それにしても、普通のミラーレス用レンズにしても、18cmまで寄れるレンズはマクロレンズ以外ではそうは思いつかない。
換算35mmのレンズは案外広いから、これで最短撮影距離が1mほどだとかなりいろいろ写り込む。僕的には近所の散歩であまり周囲にいろいろ写り込むのは好まないのだけど、この35mmのノクトンはグッと寄れるから、そこがとても散歩に使いやすい。
一方で広く撮りたい時は、さっと準広角の35mmまで引けるから、スナップには実に使いやすいのだ。明るくて、寄れて、しかもいい意味でクセのある描写が楽しめる。僕にはもってこいのレンズだ。しかも、僕のはマップカメラ30周年モデルのシングルコートなのが気に入っている。
こういうレンズが一本あると、カメラやレンズを数本持ってるようなバリエーション感が味わえる。目をつぶっても操作できるほどカメラとレンズを使い込む意味では、カメラとレンズの数は物理的に少ないに越したことはない。そういう思考の人にもおすすめのレンズだ。
さて、いよいよ秋の風が吹き始めた。これからの季節は大地の色が絶妙な変化を見せてくれる、まさに「寄りたい」季節。いざとなったら雪の結晶まで狙えるレンズを装着して秋冬の散歩を楽しむ、というのはどうだろう。
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