
古くならないというか、そもそもデザインがクラシックなNikon Z fcだから、その存在感から得られる歓びは、今後何年経とうとも変わらない。これがなんといっても、Nikon Z fcを持つ価値だろう。
基本性能についても、Nikonの製品だから当然、信頼できるレベルにある。一見、フィルムカメラのような撮影技術が必要なのか?と思う本格的見た目だけど、普通にオートで誰もが簡単に使えるモダンなミラーレスカメラだから、使い勝手も言うことなし。
しかも、実物は想像以上に薄く、小さく、軽い。一日中、首や肩からぶら下げていてもつらくないし、どこへ連れてってもこのカメラなら絵になり、ファッションにもなる。レンズ交換もできるから、それこそカメラはこれ一台持っていれば大丈夫、という出来の良さだ。

そんなカメラが12万円前後で手に入れられるのも、うれしいところ。おすすめレンズであるNikkor Z 40mm f2と合わせても、15万円ほどにおさめることができる。初めてカメラを手にする人や、小ぶりなサブ機が欲しい人にもこれなら十分検討しやすい。
センサーサイズはAPS-Cで、富士フイルムのXシリーズなんかと同じようなコンパクトさが売りだ。実際、フルサイズ機と持ち比べてみると、その軽量コンパクトさにあらためて驚く。手ぶれ補正機能はないが、ISO感度を高くしてあげればなんら問題なく、その分薄く設計できていることのメリットのほうが大きい。
そのクラシックなデザインだけに目がいきそうだが、とにかくサイズと性能と価格のバランスが秀逸なカメラ、Nikon Zfc。一方で、僕のようにフィルム写真機のように楽しみたい人間にも、シャッタースピードダイヤルを備えてマニュアルライクに楽しむこともできる。

もうこれは、Nikonが「カメラで写真を撮る人が少しでも増えるといいな」という思いを凝縮したような、予算を度外視したカメラなんだろうなと僕は理解している。
日々いろんな新製品カメラが登場するにつれ、年々その価格も上昇していることを考えると、これほどまでに万能性の高いカメラがこの価格帯で手に入れられるのは、ちょっと奇跡のような存在とも言える。Nikonは必要以上にそういうことを大宣伝したりしないが、そこがまたNikonらしくて僕は好きだったりする。