いまさら書くことでもない点だけど、年末年始休みにいろんなレンズを楽しんでいて、あらためてNikon Zfの「バランスの良さ」を再認識するに至った。
タイトル写真のレンズは1930年代に使われていたコダック・バンタム・スペシャルというカメラに装着されていたレンズをLマウント化したKodak Ektar 45mm f2というレンズ。
元旦の日に縁起良く譲ってもらったレンズで、最初はここのところ出動頻度の高いFUJIFILM X-Pro2に装着したんだけど、そうするとご存知の通りAPS-Cセンサー機なので35mm判換算で67mm程度の画角になり、感覚的には「中望遠レンズ」となる。
それによる不満などは特に無いのだけど、クロップによりレンズの周辺部をカットしたやや拡大画像になるので、まあやはりというか、そのレンズ本来の周辺部まで描写を垣間見ようと思うと、フルサイズセンサー機で撮りたくもなる。
それでいうと、僕はフルサイズセンサー機としてはSIGMA fpも使っているのだけど、fpの場合だとファインダーを後付けしないかぎりは背面モニターを眺めてピント確認をすることになり、AFレンズなら特に問題はないがMFレンズになると絞り開放値なんかだとピント合わせがなかなか難しかったりする。
誰もが一度は通過するオールドレンズの楽しみ方のケースだと思うけど、そんなこんなでファインダーがあるフルサイズセンサーのミラーレス機というのは、やはりオールドレンズを楽しむには最も使い勝手がいいという、ある意味王道のボディなのである。
しかも、Nikon Zfが「バランスが良い」と思うのは、そのクラシックなデザイン。このいかにも往年のカメラを彷彿とさせるボディデザインには、同じく往年のオールドレンズが実に良く似合う。少し遠目からなら、フィルムカメラで撮ってるように見えるだろう。
しかも、さらに「バランスが良い」と思うのは、その価格だ。最近はのきなみカメラの価格が上がっていて、新品のミラーレスカメラを買おうと思ったらどうしても高額になりがちだけど、このNikon Zfはどう考えてもそのグレードを大きく下回る、モノとしては間違いなくバーゲンプライスだ。
もちろん、中身は最新のフルサイズミラーレス機で、NikonのZマウントの上位機種のひとつでもある。今風に使えば、今風のミラーレス機として、AFレンズを多用したりオート撮影を行えたりと実に高次元バランスで写真撮影が楽しめるのだ。
フルサイズ機でファインダーがあって…とかって言うとライカなども挙がるが、やはり趣味としてオールドレンズで遊ぶにはちょっと高価だ。そして、Nikon Z5やCanon RPなどの価格が抑えられたシンプルなフルサイズ機もあるが、見た目の「らしさ」で言うと、やはりNikon Zfのクラシックな雰囲気はオールドレンズが良く似合う。
Nikon Zfが登場した時は、ニコンさんもクラシックな写真機ラインナップにいよいよ参入してきたなと「見た目や作りの良さ」に目がいったが、いやいや、Zfとは多くの人の要望を一台でバランス良くこなす「戦略的製品」だなと、いまあらためて思うわけである。
カメラはできるだけ一台に絞って、多様な撮影や多様なレンズを楽しみたい、と言う人には、まさにNikon Zfは究極の一台ではないだろうか。もう本当にいまさらなのだけど、新年にその事実を再確認したから、またこうして懲りずに書いている。
息長く、できればいまのコスパの良さを維持しながら、いつまでもロングセラー製品になってほしいものだ。このカメラがあることで、レンズの楽しみ方がより広がっていくと、写真界全体も活性化するというものだ。いや、決して大袈裟ではなく。
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