FUJIFILMのカメラの中でも、最も「カメラらしいカメラ」といえるのがX-Proシリーズ。現行機種はX-Pro3で、その初代機にあたるのがこのX-Pro1である。登場は2012年2月だから、ほぼ9年前のモデルとなる。
進化の激しいデジカメの世界にあって、9年も前のモデルとなるとずいぶん古く聞こえると思うけど、これがなかなか「味」があっていいのである。それは、このX-Pro1が「初代機」であることにも起因していると思う。
初代機って、なんか開発者たちの夢がのってるというか、カッコよくいえばロマンの塊のような存在だと僕は思ってる。実際のところ、そうかどうかは分からないけど、僕は「初代機のカメラ好き」で、そのカメラの機種のルーツを追いかけたい、確かめたい、堪能したいみたいな思いがあって、手元には「初代機のカメラたち」が集まってくる。
このX-Pro1はかつて使っていたものを、買い戻したもの。もちろん、僕が手放した個体そのものではないんだけど、以前持っていたものよりかなりコンディションの良いものを手に入れられたんで、初代機が時代を遡ってよみがえったような気がして、いまとても気に入って使っている。
9年前のモデルだから、当然、最新のカメラのようなサクサクとした俊敏性や多機能性を楽しむカメラではない。でも、それが現代においてデメリットかというと、まったくそんなことは無い。フィルムカメラのように一枚一枚をじっくり撮るという観点においていえば、実に「らしい」のである。
あらためてその大きさを見ると、X100シリーズなんかよりはひとまわり大きく、実はX-Tシリーズよりも横幅はあったりして、このカメラが意外とコンパクトではないことに今更ながら気づく。スナップシューターというよりは、もっとスローに楽しむカメラなんだという僕なりの気づき。
そう考えると、余韻のあるシャッターフィールをはじめ、このカメラの至るところがとてもクラシックで良く思えてくるのである。だからといって、何かストレスを感じるような部分があるわけでもなく、写真機としての性能的にはまったく不満なく使えるモダンさも持ち合わせている。まさに、モダンとクラシックのいいとこどり。今だからこそ味わいたい、いいバランスのカメラなのである。
レンズは、僕は今は富士フイルムのフジノンレンズたちを使っている。以前、所有していた時はX-Pro1はオールドレンズ母艦機のような使い方だったから、今はむしろフジノンレンズも含めてFUJIFILM Xシリーズの原点みたいなものを確かめたくてそうしている。それもまた、僕には新鮮なのかもしれない。
カメラの新鮮さとは、新しさだけじゃないところがまた魅力。もし程度のいい個体を見つけたら、FUJIFILM Xシリーズのルーツに浸ってみるのはどうだろう。
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