カメラへの思い

撮影者にとっては、この角度が「カメラの正面」だったりする。

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OM System OM-3

カメラの製品写真は、いわゆるレンズ側が正面カットとして使われるのが常だ。僕も日々SNSにポストしている「きょうのカメラ」という写真は、その正面が見えるように撮ったものが多い。

でも、カメラで撮影する撮り手にとっては、首からぶら下げている時は、見下ろした軍艦部の眺めが見た目にも操作性的にも大事だし、カメラを構える時は背面こそがカメラの勇姿になる。

僕がクラシックなスタイルのカメラが好きなのは、まさにそこも大いに関係している。軍艦部や背面は単に後ろ側ではなくて、撮影者にとっては「これぞ正面」だったりする。その機能美なる造形が撮影者を「その気にさせる」のだ。

Nikon Df
FUJIFILM X-T5
Nikon Zfc 背面

そういう意味では、カメラのデザインは単なるデザインではない。長年いろんなカメラが登場しつつ、やっぱりこの造形やレイアウトが最もしっくりくる、と収斂されてきた形ともいえる。そうやってたどり着いたレイアウトが、フィルムカメラ初期のデザインに立ち返っていることはかなり興味深い。

厳密にいえば、OM-3なんかは軍艦部にシャッタースピードダイヤルはないが、これはフィルム時代のOM-1のシャッタースピードダイヤルがレンズ部にあったことに起因していることもあると思うから操作性は異なるが、この見た目にそそられることは間違いない。

僕がNikon DfやFUJIFILMのカメラに魅せられて、こうしていまもクラシックなスタイルのカメラを好むのは、その造形の美しさと共に、写真機としては使いやすさや撮りやすさで結局これがいちばんしっくりくる、という実感があるからに他ならない。

FUJIFILM X-Pro3
Nikon Zf, TTArtisan 75mm f1.5 M42マウント
FUJIFILM X-T50

動画機になると当然、写真機とは異なる機能美というものが追求されるから、それはデザインの違いにも自然と現れる。そういう意味で動画機の作りについても、個人的にはとても興味がある。いまは動画機と写真機のハイブリッドなカメラが大半だから、そこにはまたそれに最適化されたデザインもあるな、とか。

カメラは「撮る道具」だから、撮り方が変われば当然、機能美的デザインも変わる。そういう理屈を突き抜けて「とにかくこの見た目が好き」という直感に突き動かされていることもあるが、一方でそれは撮り手の撮り方の美学でもあったりする。

そういうことも織り交ぜながら、カメラを眺めると、カメラのデザインとは相当奥深く、興味が尽きないのである。

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