
写真を撮るのが好きだし、カメラも好きなのだけど、もう少し正確にいうと、僕の場合は「シャッターを切る」のが好きというのがある。シャッターを切る、その瞬間になんともいえない気持ちよさを感じるのだ。
端的にいうと、そこがスマホカメラで写真を撮るのと最も異なるフィーリングかもしれない。
だから、やはり電子シャッターよりはメカシャッターがいい。一眼レフを写真機らしいと感じるのも、あのシャッターショックの心地よさがあるからだろう。

プロのフォトグラファーの人なら無音シャッターが求められるシーンもあるだろうが、僕らのようにアマチュアの写真愛好家の場合はそんなシビアなシチュエーションもそうないし、趣味のカメラの観点でいえば、むしろシャッター音が奏でられるのを聴いていたいのだ。
僕が歴代カメラで最もシャッター音に感動したのは、忘れもしない、Nikon F6だ。フィルムが高騰し始めて持ち出す機会が減った時に何かの下取りで手放してしまったけど、そのあまりにも絶品で脳を歓ばせるシャッター音は体が記憶していて忘れられない。
まあ、だからといってシャッター音を聴くためだけにカメラを使ったりするわけじゃないから、あくまでメインディッシュではないが、途轍もなく重要なスパイスであることは間違いないだろう。

カメラという道具を手にすると、ちょっとリッチな写真が撮れるうえに、ゾクゾクっとするシャッターを切る瞬間まで体感できる。一見あたりまえに聞こえるかもしれないが、フィジカルに感動を体感できるという意味では、思い立ってすぐシャッターが切れるカメラが身近にあることは、とても偉大なことなのだ。
さて、あなたのなかのシャッター音の名機はなんだろう。心を震わせる、まるで楽器のような美しいその道具とは。