富士フイルムのカメラには撮影ポジションとしてフィルムシミュレーションという機能がある。その名の通り、フィルムでめざした描写テーマをデジタルの力も借りて追いかけようという、ある意味とても志の高いものだ。
そのフィルムシミュレーションには、いわゆる元々からあったB&Wの他に、ACROSモードが追加されている。つまり、モノクロモードが二つあるのだ。
なぜ、二つのモノクロモードが必要なのか。それは、富士フイルムという国内唯一のフィルム販売会社の意地だと思う。下の記事を読んでもらえれば、その一端がお分かりいただけると思う。
このブログでも過去にフィルムシミュレーションの開発者の方々のインタビュー動画や記事を紹介してきたけど、そりゃセールストークの側面はあるにしても、富士フイルムのフィルムシミュレーションへの思い入れが並々ならぬものであることはかなり強く伝わってくる。
そして、そういう思い入れを耳にすることで、富士フイルムのカメラで撮っている僕の心持ちも大いにたかぶるのである。
いや、他社の撮影ポジションも含めて、そのモノクロの表現性にどこまで違いがあるのかと言われれば、それを明確に理解して語れるほどの知識も審美眼も僕にはない。
けれど、写真は気持ちがのり写るものでもあって、どういう心持ちでシャッターを切るかは、何を撮るか以上に僕は大切にしたいことだと考えている。
僕はフィルムでも写真を撮ってきたので、当然135フィルムのACROSにも思い入れがある。ACROSが販売終了になった時はかなりショックを受けたけど、その後に富士フイルムが形を変えてACROS IIを再販した時は異常に歓喜したし、なんか富士フイルムをとても応援したい気持ちになった。
たしかに富士フイルムのフィルムたちは年々整理に向かっている感はある。けれど、それはある意味、この会社の意地としてデジタルカメラに色濃く力が注がれていることを強く感じる。
フィルムで撮るアノ感触をリスペクトし、いつまで継承するために、アプローチは変えつつも魂は変えない富士フイルムのカメラたち。
僕はそういう気持ちを分けてもらいながら、写真を楽しめていると考えている。
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