「ザ・富士フイルム」というのは僕の勝手な解釈ではあるけど、個人的には富士フイルムのXシリーズの中でも〈X-Proシリーズ〉の存在はちょっと特別で、なかでも最も尖った(極まった、かな)カメラが、このX-Pro3だと思うのだ。
現行ラインナップからはすでに外れていて、そういう意味では新品ではもうなかなか手に入らないけど、それも含めて希少性というか、カメラ史の目撃者としてこのカメラを体験しておくことは、かなり意味があることなんじゃないかとも考えている。
そこには「もう二度とこんなカメラは市販化されないだろう」という、そういう意味での希少性を感じることも大きい。まあ、現代の会社で、こんなカメラが企画会議で承認されるとはちょっと思いづらいので。それほどまでに、このカメラが製品化されたことは奇跡なのだ。
アイデンティティである唯一無二のハイブリッドビューファインダー。背面モニターを隠し、さらに背面小窓を配置した、ちょっと想像の斜め上をいく構造。それに飽き足らずボディをチタン製にして、その上にデュラテクト加工まで施すオーバークオリティ。さらに3色選べるバリエーションまで揃えてきて、いま考えても唖然とする。
それでいて20万円ちょっとの価格で新品が手に入れられたのだから、もうこれは奇跡といっていいだろう。僕は間違いなくそう思える。
たしかに来年には後継機としてX-Pro4的な製品が出てくるかもしれない。けれど、それが出てきたとしても、このX-Pro3は唯一無二だ。それはさすがに容易に想像がつく。そう考えると、開発陣の人たちもなんとなくそんな予感がして、このカメラを「もう二度と作れない奇跡の製品」として、ひとつの総仕上げ的に世に送り出したのかもしれない。
いたずらにすべての人に推したりはできない、ある意味クセの強いカメラであるが、いまのうちにこのカメラを体験しておく価値は十分あると思う。もし、偶然にも目の前にこのカメラが現れることがあったら、ぜひ手にとってその奇跡っぷりを確かめてほしい。メラメラと胸騒ぎするものがあるはずだ。
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