そう言うとちょっと大袈裟かもしれないけど、今年になってからLeica M3を再び見つめ直し、それがM8の購入につながり、そして初代ズミクロンを再び手にするに至った。僕的にはM型ライカの原点かつ写真の原点みたいなものに今一度思いを巡らしているところなのだ。
初代ズミクロンは、以前も固定鏡胴を使っていたんで、買い直す今回は沈胴ズミクロンにしようと考えてお店を覗いたのだけど、まあこれも運命なのかな。沈胴ズミクロンと最後まで悩みつつ、かつて愛用していた記憶が蘇ったというか、結果的に固定鏡胴タイプを購入するに至った。
以前使っていたものは固定鏡胴の後期型だったんだけど、今回は前期型。同じように見えて微妙に細部のデザインも異なり、少し新鮮な思いもある。レンズの綺麗さや動作の滑らかさは今回のもののほうが良いなとも感じていて、同じ固定鏡胴ズミクロンとはいえリフレッシュ感がある。
そう、原点に帰るというと過去に戻る感じに聞こえるかもしれないけど、僕的にいえば「気分を新しくする」という気持ちが強い。リスタートな感覚といえばいいだろうか。もう一度、写真を見つめ直したいと考えた時に、M型ライカがいい感じで過去と現在、未来をつないでくれるんじゃないかと考えたのである。
僕のブログやTwitterを見てくれている人ならお分かりだと思うけど、この「M型ライカと原点に帰る」という思いは見事なくらいじぶんに刺さりまくっていて、もうほんと連日あきれるくらいM8かM3で写真を撮っている。
とても作例とは言い難い試し撮り写真の乱発みたいになってるけど、そこは温かい目でご容赦いただきたい。
初代ズミクロン。考えてみると、以前使っていたら時はちょっとサブ的なレンズになっていて、どちらかといえば満足に使いきれていなかったかもしれない。
というのも、その頃はズミルックス2ndとエルマーMも同時に使っていて、メインはズミルックスとエルマーというF値的に両極端のものを使うことが多く、そんななかズミクロンはちょっと中途半端な立ち位置のようになっていた気がする。
当時はM型デジタルで撮り始めて間もないこともあり、描写が派手なズミルックスが分かりやすさという点でやはり好みだったのだと思う。
でも、そこから何年か経過して、僕の写真に対する向き合い方も少しずつ変化して、いまはもう少し落ち着いたトーンで写真の奥深さみたいなものを味わいたいという思いもあり、そうするとズミクロンが途轍もなく恋しく思える。
ズミクロンを落ち着いたトーンと例えるのはあくまで僕の中のズミルックスとの比較の印象なんで、正確にいえばM型ライカが思考した写真のスタンダード像をもう一度再確認したいということ。M型ライカのルーツであるM3とM型デジタルのルーツであるM8が、そう思わせてくれたのである。
ここ数年常用レンズになっていたMエルマー3.5に、今年になってから眼鏡付きズマロンと初代ズミクロンが加わった。エルマー、ズマロン、ズミクロン。実にいい三本じゃないかと思っている。
街中でのスナップシューティングには、小型軽量のフォクトレンダーのレンズたちの出番がこれからも多いと思うけど、家の近所の散歩道なんかには初代ズミクロンを含めたライカのレンズたちで、写真の原点みたいなものを見つめながらゆっくりシャッターを切っていきたいと思う。なにかとても心落ち着くじぶんがいるのである。
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