SNSのほうにもポストしたんだけど、趣味としてカメラを始めようとする時、数万円(つまり10万円未満)で選べる選択肢があることは、心理的ハードルとしてもとても大きい気がする。
そんな僕もカメラを始めた時はレンズキットで10万円以内のNikon機を選んだ。正確には別途、明るい単焦点レンズも一緒に購入したから10万円を少し超えた記憶だけど、とにかく「とても高価な買い物をした」と緊張したのを覚えている。
カメラ中級者あたりになってくると、だんだんと機材選びにも目が肥えてきて、やれ数十万円などという出費が慣れっこ?になってしまったりするけど、冷静に考えると趣味にそれほどの大金を投入するのもいかがなものかとも思う。
ましてや、これから初めてカメラを手にしようとする人には、僕はいいところ「予算は数万円」が妥当だろうと思う。それ以上の予算となると、なんというか、趣味というよりはちょっと覚悟みたいなものも要するわけで、財布が許すのであればそれが悪いとは思わないが、ちょっと気軽さとかライトさに欠ける。
でも、最近は為替の影響なのか、それとも時代的な物価上昇のせいか、とにかくカメラやレンズの価格が高い。コンデジも10万円を超えてくるし、どうかしたらレンズ交換式などはもろもろ揃えると30万円近くになったりも。さすがに、これは「ちょっと趣味でカメラを始めてみようかなあ」とはなりにくい。
そんなところへ登場したのが、令和の時代の新型フィルムカメラ「PENTAX 17」である。近年、人気の中古フィルムカメラだが、できれば修理などメンテナンスも安心な新品のフィルムカメラという選択肢も提供できればと、PENTAXが心意気で世に送り出した製品だ。
その姿勢だけでも泣けてくるが、その新品の販売価格を¥88,000という、いかにも頑張った価格設定で出してきたところに、さらにPENTAXの愛を感じるのだ。
たしかに、フィルムカメラの場合は、そのほかにフィルム代や現像代、データ化代などのコストがかかる。でも、それはあるにしても、新品のカメラ本体が9万円ほどで済むのならやっぱり始めやすさはあると思う。フィルムならデジカメほどはやたらと枚数は撮らないし、ハーフサイズカメラなら「まだ撮れるのか!」というくらい、けっこう満腹感もある。
趣味とは「こころの満足感」を楽しむものだから、そうした気分的な楽さや開放感はとても大切なのだ。そして、PENTAXはそこをとても大切に新製品を出してきたのである。もちろん、もっとお安く中古フイルムカメラも選べるけど、新品でもそうした選択肢ができたことがやはり素晴らしいと思う。
PENTAXはデジカメでも一眼レフではPENTAX KFが10万円以内で選べるし、防水タイプのアウトドアコンデジであるPENTAX WG-1000は3万円ほどで手にできる。もちろん、共に新品で、である。カメラ界の中では地味なラインナップに見られるかもだけど、僕はこれ、価格帯的には素晴らしい製品だと思う。ここまで書いてきたような理由としてね。
趣味の世界には「ハイアマチュア」という言葉があり、たしかにその域の人々はプロかと思うような出費をいとわない姿もまた存在する。けれど、日常スナップとしてライトにカメラを持ち歩くなら、もっとライトでもっとラフに始められるカメラがやっぱりうれしい。
そう、趣味のカメラなら、正直、機材の値段は撮れる写真の素晴らしさとは無関係だったりする。それでいいし、それが写真の素晴らしいところなのだ。
「始めやすいカメラ」や「始めやすいレンズ」。そんな精神性に共感する思いがあるから、個人的には中国製の割安なレンズなども心の中で応援したくなる。まずは身の丈にあった機材で写真の世界をひろく感じとり、深めたい場所がわかってきたら、それから大きな予算を投じるなら投じればいい。
そんなことを、ふと思い出させてくれるのが、PENTAX 17の登場だった気がする。PENTAXのフィルムカメラプロジェクト、その道は決して楽な平坦な道じゃ無いと思うけど、PENTAXにはなんとか熱い志で頑張ってほしいと思う。そう、できるだけ「始めやすいカメラ」としての立ち位置も考慮して。楽しみにしてる。
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