
昨日のブログでちょっと触れたように、いろいろ思うところがあって、2023年の終わりにSIGMA fpが僕のもとへやって来た。まだ二日間しか触っていないんだけど、結論から言うと「僕には大当たりのカメラとレンズ」だった。
カメラの中でも「クラシックな写真機スタイルのもの」を好むじぶんが、ファインダーが無い、電子シャッターオンリーのカメラにどこまで心奪われるのかは、正直撮影に持ち出してみないとなんとも言えないところだったが、実際に試し撮りして「完全に当たり」と確信したわけである。
しかし、撮る前から「これは間違いなくいいモノ」という予感はあった。そのプロダクトとしての作り込みが凄まじく良いのだ。それはミニマルで見るからに美しいデザインのみならず、まるで鉄の塊のような重厚な質感からプンプンと香るのである。
SIGMA社の並々ならぬ意気込みを、間近で手に持ってみれば一瞬で理解させられる、そんな迫力がこのカメラにはある。ボディが最小最軽量であるという数値的なスペックは彼らの手段であって目標ではない。目標はあくまで撮り手が日々感じる幸福感にある、とこのカメラは静かに発してくる。
ちょっと同じような性質のカメラを思い浮かべようとしたけど、ありそうで見当たらない。ファインダーが無くて背面モニターを見ながら撮る高級感という観点からみればRICOH GRが近いともいえるが、レンズ交換をはじめ圧倒的に拡張性を宿したfpは、そのフルフレームセンサーの大きさと共に異様な余裕がある。
SIGMA fpについては、いろんな人が数えきれないほど多くのレビュー記事やスペック紹介、作例動画などをアップしているんで、僕がそのあたりのことを多く語る必要はないだろう。写真については僕レベルのもので恐縮だが、参考までにいくつか貼っておきたいと思う。
ほとんどの写真が「ティールアンドオレンジ」という撮影モードで撮ったものだ。というか、この撮影モードで撮ってみたくてfpを手にしたと言ってもいい。想像した通り、フルサイズでふんだんに光を取り込んで写しだしたティールアンドオレンジは、僕には当たり中の当たりだった。
あと、とにかくレンズがいい。開放値だけ聞くと派手さはないいかにもキットレンズ的な性能を想像するかもだけど、このレンズ屋SIGMAが用意した45mm f2.8は間違いなくオーバークオリティを思わせる素晴らしい出来と言えるんじゃないだろうか。もはや開放で使い続けても大丈夫と言わんばかりの性能は、正直ぶったまげた。






そして、モノとしての作り込みの良さに話を戻すと、このレンズも金属の質感がヤバいほど素敵だ。スチールのフードを指で鳴らすだけでもジンとくる。そうそう、鉄の塊感の心地よさでいえば、後付けの純正グリップも鉄を感じさせ、fpがひとつの塊としてクールさを伝えてくる。この所有欲のようなオーラはちょっと別格だろう。
そうやって細部にわたる作り込みの良さを挙げるとキリがないが、僕なんかは底部のバッテリースペースの蓋の開閉の作りと感触すら感動を覚えた。そう、プロダクトとは細部へのこだわりこそがオーラを形成する命なのだ。
思い起こせば、これまで僕は何台かのSIGMAのカメラとレンズを使ってきた。カメラでいえばDP1、DP2 Merrill、DP3 Quattroなどだが、Foveonの写りの良さは当時からとんでもなく凄みがあったが、それから数年を経て、このfpはプロダクトとしての凄みまで到達してきたような感慨深さがある。ついにSIGMAもこのレベルまで来たかと。
カメラは人それぞれ好みが異なるし、このカメラにはいたってはファインダーが無いし、電子シャッターオンリーといった、いわゆる万人に手放しておすすめするモノとも少し異なる。しかし、それでもあえて、僕はこのfpは推せると感じている。







なにしろフルサイズセンサー機でありながら、この秀逸なレンズがついたキットが20万円ほどで手にすることができるのだ。じぶんはオールドレンズで使いたいからという場合なら、ボディ単体はさらに安く手に入れることができる。写りや良さ、モノとしての質感は文句なしで、だ。
僕なんかはスチル機としてしか使わないが、動画をやる人ならさらにその使い勝手や拡張性は魅力がプラスされるだろう。お世辞抜きに、驚きだ。
2019年の発売日にお店に実機を触りに行った僕が、一度は購入を見送ったはずが、こうして機が熟して手にすることになったのも、また運命であろう。不満に思う点がゼロとは言わないが、そんなことを軽く吹き飛ばす感動がこのカメラにはある。
どこまでその魅力を伝えていくことができるか分からないが、引き続き今後もSIGMA fpのことはこのブログで触れていきたいと思う。僕は、じぶんが惚れ込んだモノは積極的に人に共有したくなるタチなので。それにしても、この「当たり感」は見事だ。GJだよ、SIGMA。