ここニ、三週間ほど、僕はある一本のレンズを手に入れて、いろいろと試し撮りを楽しんでいた。それが、Nikon ZのAPS-C機専用に用意された中望遠レンズ、Viltrox AF 56mm f1.4 Zである。
実はViltrox製のレンズも、はたまたいわゆる中華レンズというモノも、これまで使ったことがなかったんだけど、このたびPergearさんからご提供いただける機会があり、しかも僕には珍しい中望遠レンズだったんでワクワクしながらレンズの到着を待っていた。(本記事はプロモーションPRを含みます)
到着したレンズがまた実に丹精というか美しいレンズでね。いい意味で僕の中の中華レンズのイメージを裏切ってくれた。
昨今の中華レンズの人気の一端が分かるというか、精密機械としての満足感がしっかりあり、ちょっとその高品質さと安価な価格のミスマッチ感が妙にグローバル感を感じさせてくれる。
このViltrox AF 56mm f1.4 Zは、フルサイズ換算で約85mmとなる中望遠レンズ。しかも特徴的なのはオートフォーカス仕様であるということだろう。
一般的に安価な中華レンズはマニュアルフォーカスレンズのイメージがあるけど、その中にあってAFで使えるViltroxのレンズは一ランク上の作り込み感を感じるのかもしれない。
そのワンランク上とも思えるF1.4のAFの中望遠レンズが、なんと¥35,000程度で売られているのである。国内のレンズと比べようはないけど、感覚的には1/3程度の価格で同等のスペックのレンズを手に入れる感覚だろうか。
正直、近年はカメラボディだけでもけっこうな金額になるんで、レンズをコスパよく揃えられるのは何よりありがたい。
絞りリングがあるのも、僕らのようなクラシックカメラ好きにはうれしいところ。クリック感のないフリーで動かせる絞りリングだけど、その動きは実に滑らかで心地よい。
ちなみに富士フイルムのレンズになるような「A」のポジションがあり、そこに目盛を合わせると絞りオートで撮ることもできる。このレンズ、先に富士フイルム用として登場していたんで、そのあたりも抜かりないなという印象。
レンズ本体も金属製だけど、付属のフードも金属製なので、手触りも見た目も質感はとてもいい。フードをつけると前面に長さは出るけど、そもそものレンズ本体が軽量コンパクトなので、取り回しはまったく気にならない。
やはり、軽量コンパクトは正義である。カタログ値で見ると、同シリーズの23mmや33mmとほぼ同等の320gしかないから、やはりなかなか圧巻のAF中望遠レンズといえる。
で、写りのほうだけど、これがまたなかなかやってくれる。正直、とても三万円台のレンズ描写とは思えないというか、作り込み同様にとても丹精で綺麗な写りをする。
カタログスペックを見ると、レンズ構成は超低分散(ED)レンズ×1枚と高屈折率レンズ×1枚を含む9群10枚で、色収差と球面収差を効果的に抑制するとある。
しかも、大口径化による分散問題を解決するために、このレンズには高精細ナノ多層膜コーティングが採用され、分散差を補正してゴーストやフレアも解消をめざしているなど、まあ価格を裏切るなかなかの熱の入りようなのである。
Viltroxの開発陣たちも気がついたらオーバースペックでした的な写真好きなんだろうね笑。
AFも実に静かでピタッと決まる。無騒音ステッピングモーター(STMフォーカスモーター)が採用されているとのことで、AFにも安価なレンズのストレスは感じない。
しかも、瞳AFにも対応してるというのだから驚きで、ポートレートなど動く被写体を撮る人向けにもしっかり設計されていて、なかなか恐るべし製品だなと思う。
最短撮影距離は60cmなんで、85mmの画角と合わせると、かなりマクロ的な雰囲気で背景もしっかりボケた写真が楽しめる。
しかも、それがオートフォーカスで片手で楽しめるのだから、僕のような愛犬と散歩しながら撮るようなシチュエーションでも実にAF仕様はありがたい。
レンズの描写の好みについては、もう写真を見てもらって判断してもらうしかないんだけど、僕個人的に使ってみた感想としては「驚くほど丹精で綺麗なレンズだった」ということ。
これが三万円台のレンズというのがなんか感覚が変になるけど笑、普通に良いレンズです。
いやあ、こういう時代になったんだなと、僕なんか国産製品やドイツ製品信奉みたいな世代の人間からすると、ほんと驚きです。
まさに、カジュアルなAPS-CのNikon Z fcに似合う、AFのカジュアルな中望遠レンズ。といってもカジュアルなのは操作性の楽ちんさと価格的な扱いやすさなことであって、写りはNikon Z最新機の性能の良さと相まって実に美しい世界のもの。
中望遠の明るい単焦点レンズって一本は持っておきたいとこだし、かといって出動頻度はそれほど高くないので予算は抑えたい人なんかには、間違いなくおすすめの一本。こういうレンズがひとつあると、なかなか世界が広がります。美しい秋冬色の記録のお供にぜひ、おすすめです。