きょうは2ndfocusさんからお借りしているMFレンズ〈AstrHori 50mm f2〉について、しばらく使ってみた感じなどを少し書いてみたいと思う。
「AstrHori」という名前はまだまだ知らない人が多いと思うけど、日本語では「アストロリ」と読み、岩石星という中国のベンチャー企業が開発・製造している中国製レンズである。
僕も当初はその存在は知らなかったんだけど、そうしたアジアのユニークなレンズを発掘して日本国内に紹介・販売している2ndfocusさんから〈AstrHori〉の存在を教えてもらい、Xマウント用とGFXマウント用のレンズをお借りして、いろいろと普段使いをして試しているところだ。
2ndfocusさんはあの焦点工房さんのグループ会社なので、中国製レンズをはじめとしたアジアンレンズ界隈の情報にもグループ全体で精通しているから、やはりその目利き力や安心感は心強い。おかげでアジア地域のメーカー事情などにもすっかり親近感がわいている。
で、このAstrHori 50mm f2だけど、もともとはフルサイズ対応で作られたレンズとのことで、僕がお借りしているのは富士フイルムのXマウント用で35mm判換算で約75mmの中望遠域の画角になる。最短撮影距離は50cmと決して短いわけじゃないんだけど、この望遠気味のおかげで散歩レンズとしてはちょうどいい距離感になる。
ちなみに僕は、0.7m〜1.2mくらいの間で距離を固定して散歩途中に片手でヒュンヒュン撮ることが多くて、近すぎず遠すぎず散歩レンズとしても使い勝手がいいなと感じている。
描写については、試し撮りした写真をいくつか貼っておくのでそれを見て判断してもらえればと思うけど、明るいレンズの開放好きな僕が使っても普通に使えると言えば、その性能の質の良さが伝わるんではないだろうか。もちろん開放付近は多少甘さはあるけど、それはオールドレンズのそれを思わせ、むしろ味がある。
実はこのレンズ、カタログ上の絞り開放値はf2なんだけど、その隣に数値が振られていない開放ポジションがあり、実際はf1.7で撮ることができる。AstrHoriのレンズはGFX用のものにもこの隠れ開放ポジションがあり、意図して曖昧さを求めたり、暗所での撮影にも使えたりで、AstrHoriならではの配慮の効いた作りだなと思う。
あと、中国製レンズだとみんなが気にするのがプロダクトとしての質感だと思うけど、これが実物は実に良い。金属感があってその分少し重さはあるけど、見た目も触った感じもいかにも「いいモノ」感がある。フォーカスリングのトルクもニュルニュル感が絶妙で「あ、これは好きな人が作ったレンズだ」ということが伝わってくる仕上がりだ。
昨今の中国製レンズの出来栄えにはほんと驚くけど、このレンズはここまで質感を向上させても一万円台で買えてしまうから、それがまた驚きだ。たぶん、ブランドの中でも標準レンズだからコストを度外視してもまずは多くの人にAstrHoriブランドを手にとってみてほしい、ということなんじゃないかな。そうじゃないと、この出来栄えとコストが釣り合わない笑。
僕はFUJIのX-TシリーズやX-Proシリーズ、X-Eシリーズに使っているけど、他社向けの各種マウントも用意されているから、気になる人はお試し価格的に安く手に入れられるし、実物を装着して試し撮りしてみるのもアリなのではないだろうか。
これまで標準ズームレンズでしか撮っていなかったという人なんかには、買い足しやすいお得な標準単焦点レンズの一本だと思う。
それにしても、AstrHoriのレンズはどれもほんと質感が高い。岩石星の「ロックスター」を意味する「R」の文字がレンズ前面にさりげなく入ってるんだけど、そういう心意気が感じられる注目ブランドである。
★2ndfocusさんは今度のCP+ 2024にも出展されるとのことなので、会場に行かれる方はぜひ実物をチェックしてもらえればと思う。