アジアの注目の新興レンズを日本国内向けに扱っている2ndfocusさんから、FUJIFILM GFX用のレンズをお借りして試し撮りをしているんで、きょうはその写真や使ってみた感想なんかを書いてみたいと思う。
僕がFUJIFILM GFX50SIIに装着して試し撮りしているのは、中国の岩石星〈アストロリ〉ブランドから出ているAstrHori 75mm f4というMFレンズ。
35mm判換算だと60mm程度の画角になり、感覚的には標準域としても中望遠域としても使えるという、とても日常的スナップに適した距離感のレンズだと感じている。(レンズ詳細スペックは、以下の公式リンクにて)
開放F値は公式にはF4なんだけど、実は数字が刻まれていない「⚫︎」だけが記された絞りポジションがあり、そこに合わせると実質「F2.8」で撮れるらしく、僕は好んでその隠し開放ポジションで撮っている。
アストロリのレンズはフルサイズ向けの標準単焦点レンズ AstrHori 50mm f2にも同様の隠し開放ポジションがあって、実質f1.7で撮ることができるということで、このあたりがベンチャーらしいユニークなところ。
このレンズの魅力は、なんといってもGFX用のレンズを安く手に入れて楽しめるというところだろう。富士フイルムGFX純正のフジノンレンズだと、新品だと安くても十数万円はしてしまうわけだけど、このアストロリのレンズなら新品でも6万円台前後くらいで手に入れることができる。
僕もGFXを手に入れた当初はキットズームのGF 35-70mmで撮っていたんだけど、やはり単焦点レンズでも撮ってみたいということで、もっぱら所有のフルサイズ用レンズを使って撮っていたりする。
意外とケラれることなく使えるフルサイズ用レンズもあって、そうしたさまざまなレンズが楽しめるのがミラーレスの中判デジタル(ラージフォーマット)GFXの魅力だったりするのだけど、せっかくなら一億画素を想定して設計されたGマウントレンズの描写のバリエーションも堪能したい。そんな人におすすめなのが、このAstrHori 75mm f4だ。
描写傾向みたいなものは、ここに載せた試し撮り写真を見てそれぞれ判断してもらえたらと思うのだけど、僕の感覚としては開放f2.8-f4付近でガンガン使えるという感じ。純正のフジノンレンズと比べると当然あまさやゆるさはあるけど、そこはオールドレンズ的でもあって中国製ベンチャーレンズの味でもある。
僕はむしろ、ふだんからその「味」を好むタイプなんで、このレンズが持つどこか気負わないライトな感じはけっこう好印象で、近ごろはずっとGFXにつけっぱなしで散歩カメラを楽しんでいる。
このアストロリというブランドは、フルサイズ用レンズも含めて、とにかく作りがしっかりとしているという印象。金属の塊感が見た目的にも触ってみても上質さを醸し出していて、フォーカスリングのニュルリとした感触も実になめらかで癖になる。純正に比べてどうしても重さはあるけど、そこに安っぽさは無く、アストロリのこだわりや品質ポリシーを感じる部分だ。
最近の中国製レンズばどれも本当に質感の向上が著しいと感じるけど、なかでもアストロリの質の良さは個人的にとても気に入っていて、こういうベンチャー精神を体感すると思わず応援したくなる何かがある。きっと日本のレンズメーカーや開発者もかつてはこういう挑戦的な精神性でユニークなレンズを送り出してきたんだろうなと。
カメラやレンズは「撮影する道具」だから当然、金額に見合ったなりの高価な材料や材質の使用がものをいうところがあると思うけど、だからといってあまりに高価なものばかりだと、なかなか趣味のアマチュアの写真愛好家には手が出ないものになってしまったりする。
そういう意味で、やっぱりこうした手に入れやすい価格の中国製レンズが選べることは貴重で、なるべく多くの人が新しい撮影体験が楽しめる世界にしたいというベンチャー企業の心意気みたいなものは、僕はとても共感するし、その未来にも大いに期待している。
それこそFUJIFILMが「より手軽に中判デジタル体験ができることをめざして世に送り出したGFX」を、さらに身近で使いやすいものにしてくれるのが、このAstrHori 75mm f4というレンズ。
僕はそのどこかワイルドな見た目のデザインも気に入っている。レンズ前面に岩石星〈ロックスター〉を意味する「R」の文字が刻まれているんだけど、まさにそんなロックな雰囲気を持っているのも、使っていてワクワクするところ。
アストロリ・ブランド。これから、そのロックな動向に注目していきたい。
◎2ndfocusさんはCP+ 2024にも出展されているので、会場へ行かれる実物をぜひ触って確かめてみてください。