中国製レンズなどアジアのユニークなレンズを日本国内に紹介している2ndfocusさんから、FUJIFILM GFX用のコンパクトなMFレンズ〈アストロリ AstrHori 55mm f5.6〉をお借りしたので、きょうは試し撮りした様子などを書いてみたいと思う。
まず、このレンズの魅力はなんといってもその軽量コンパクトさにある。
FUJIFILMのGFXシリーズはご存知の通り、いわゆる中判デジタルと呼ばれるカテゴリーで、フルサイズの約1.7倍もの大きなセンサーを積む分、どうしてもボディは大きくなる。
とはいえ、ミラーレス機なので想像するよりは実物は意外と取り回しが良く、実はレンズ次第でけっこう軽やかに運用できる。その「身軽なGFX使い」にまさにうってつけなのが、このAstrHori 55mm f5.6の最大の魅力といっていいだろう。
ラージフォーマットだと35mm判換算で44mm程度とスナップにも使いやすい画角になる。最短撮影距離は59cmで、それほど寄れるという感じでもないが、かといって使ってみると寄れないという感覚も特にない。
それよりも、とにかく軽く小さく撮り歩きしやすい、という印象が強いから、GFXを使ってるけどもう少しコンパクトに運用したいという人には、大いに選択肢のひとつになるんじゃないだろうか。
開放値はf5.6と決して明るくはないが、これもラージフォーマットでなら実はけっこうボケるので、スナップ向きレンズとしてはなかなかいいところにバランスを置いた製品だなと思う。
描写性能はいくつかの作例的写真を載せているので、それらを見て判断していただくとして、機能的なことでいうと夜間のイルミネーション撮影なんかではf8にすると星型の玉ボケが味わえるなど、新興レンズらしい遊び心も。僕も機会があれば一度試してみたい。
アストロリAstrHoriのレンズは私的なモノも含めて何本か使っているのだけど、モノとしての作り込みも実に丁寧で、金属感やトルクの絶妙なリングなど、プロダクトの満足感も高い。趣味のカメラとしては、こうしたエモーショナルな部分もたいせつだ。
そういう点でも、僕はアストロリブランドのレンズたちは気に入っている。そして、なんといっても純正レンズなどと比べると圧倒的に安く手に入れることができる。
僕自身が個人的に安い機材を工夫して、どこか少年時代の遊びのようにチープシックな写りを好むということもあるが、こうしてシンプルなMFレンズで撮ると、写真を撮ることの本来の歓びみたいなものを思い出させてくれる。
中国製レンズには、まさにそういうベンチャー的精神がいまも垣間見れて、そういう部分でも趣味のアイテムとしては満足感がある。
GFXをまるでスナップシューターのように身軽に使いたい、という人は、一度試してみるとおもしろい一本ではないだろうか。僕はまだ街中に連れ出していないから、次回はストリートや古い街並みなんかも試し撮りしてみたいと思う。その身軽さで、それこそ足取り軽く。