APS-Cの人気の焦点距離タイプのレンズといえば、本家フジノンが火付け役となった27mm f2.8という軽量コンパクトな製品群。
サードパーティ各社からも同タイプのレンズが出揃ってきているなかで、今回、焦点工房さんからTTArtisan AF 27mm f2.8 Xマウント チタンブラックを送っていただいたので、試し撮りしてみた感想などを紹介したい。
各社から出揃っている同タイプのレンズ群の中でも、TTArtisanのものは特に人気のように感じる。その理由はなんといっても「絞りリング」があるということだろう。
本家フジノンレンズのほうも、旧型製品は絞りリングがなかったのだけど、絞りリングを加えた改良型が登場してから、一気に人気に火がついたという印象が強い。そして、このTTArtisan製も絞りリングを備えて登場したもんだから、当然、人気になる。
APS-C用の本レンズは、フルサイズ換算だと40mm程度という、これまた昨今人気の画角の日常スナップ向けで、見た目もパンケーキといっていいほどの軽量コンパクトっぷり。これはウケるはずだ。
F0.95やF1.4のような極端に大きなボケを楽しむレンズではないが、開放値F2.8のレンズは街中でのストリートスナップではしっかりボケを生かした遠近感が出せるだろうし、散歩に持ち出してみた感じでも、想像したより実はけっこう自然なボケ感が楽しめた。
最短撮影距離も35cmとかなり寄れるので、テーブルフォトなんかもカメラをサッと取り出してシャッターが切れるだろう。これだけ軽量コンパクトだと、まさに片手でヒュンヒュン撮れるんで、コンパクトなカメラとこのレンズの組み合わせは、日常スナップには定番的存在と言っていいだろう。
AFの効きも、しっかり作られてる印象で、純正と比べても不満は特に感じない。もはや、中国製レンズは普通に「いいAFレンズ」というポジションも確立したように思う。すでにここまで進化してきたら、この先の熟成ぶりは期待しかない。
僕が今回、装着しているのは「チタンブラック」という特別色で、ブラックとシルバーの中間にあたるカラーリングというと雰囲気が伝わるかと思うけど、角度によって光のあたり方が変わると光沢感も変化して、これが玉虫色のレンズのようで実にカッコいい。
この冬はさらに限定でホワイトモデルも発表されているので、カラーリングによって個性が選べるのもこのレンズを持つ魅力のひとつだろう。
APS-Cサイズの小柄なFUJIFILMのカメラにはデザイン的にもとてもよく合うし、フィルムシミュレーションとの相性もいい。特にクラシックネガで撮ると、ボケの抑えがいい感じで効いているのもあって、まさにカラーネガのフィルム写真のような描写が楽しめる。
これで2万円台だから、人気なのもうなずける。コンパクトなカメラを持ってるんだけど、できればレンズもコンパクトなものを一本手に入れたい、という人には、まずはおすすめの一本だ。マウントも各種あるので、そこは公式サイトなどをチェックしてもらえたらと思う。
というわけで、今回もなかなか驚きの使用感と描写力だったTTArtisanのAFレンズ。いろんな焦点距離タイプが選べるように豊富なラインナップになりつつあるけど、なかでも27mm f2.8はどこにでも気軽に連れ出せる、たのもしい万能レンズ。手に入れて損はない一本ではないだろうか。