先日、焦点工房さんから送っていただいたレンズが、お世辞抜きでとてもいいレンズだったので、きょうはその使ってみた印象などを紹介しておこうと思う。
そのレンズとは、TTArtisan AF 56mm f1.8 ED。APS-C用レンズで、送っていただいたものはXマウントタイプだったので、描写テストも含めて高画素機であるFUJIFILM X-T5に装着してみた。
換算約85mmの明るいポートレート向けレンズというと割と大きなレンズを想像するけど、APS-C用ということもあってか、なかなかコンパクト。AFレンズらしく外観も実にシンプルで、いわゆるモダンなミニマルデザインだ。
フードも付属していて、装着するとさらにレンズ部全体がモダンな印象になる。このあたりのデザインは、先行していたTTArtisan AF 35mm f1.8と同様のデザインテイスト。いまのTTArtisanのひとつのカタチだろう。
いざ装着して使ってみると、AFのスピードも35mm f1.8よりずいぶん洗練されたような気がする。使っていてストレスを感じることはまずないだろう。
さらに印象的なのはその描写で、AFスピードの洗練さにも驚いたが、描写のほうもちょっとハッとする美しさを僕は感じた。開放から美しいのだけど、ちょっと絞るとその美しさに強さが乗る感じ。僕は思わず「これは、綺麗なレンズだ」と感じたので。
スペックのほうは焦点工房さんの公式サイトを確認してほしいが、個人的にはスペックの進化というより、ポートレート向けレンズというポジションに込めたTTArtisanのある種の美学のようなものを感じた。この焦点距離のレンズは、描写の遊びよりも「ひたすら、人物を美しく魅せること」こそが命なのだと。
僕は人物ポートレートは撮らないので、あくまで草花の情景でしか試せていないけど、その花の表情を見れば、そのあたりの迫力や思想は素人なりにも想像できる。それでいて3万円を切る低価格で提供するというのもまた、TTArtisanの美学だろう。
換算約85mmという画角は、散歩レンズとしても実に使いやすい。狭いというよりは濃密といったファインダー像。高画素機でも美しく感じる描写力はなかなかなもんじゃないだろうか。中国製レンズの日進月歩を感じずにはいられない印象的なレンズとなった。
焦点工房さんでは、近々やむを得ず一部のレンズの値上げが予定されているということで、為替の影響や世界的な材料費の高騰などもあり、TTArtisanのレンズも値上げ予定とのことだけど、9/4までならAmazonスマイルセールで15%OFFで手に入れることができる。
ポートレート向けレンズが欲しいけど、なかなか高価で試さずにいるという人は、このレンズでその画角の世界を味わってみるというのもアリだと思う。機材ばかりにお金をかけるのではなく、それこそ撮る日常のシチュエーションづくりにも予算を割きたいというもあるだろう。
そんな撮り手のいろんな条件を、手に入れやすい価格帯のレンズで応援したいというのが、中国製レンズの真骨頂だと僕は感じている。APS-C機を愛機としている人には注目のレンズではないだろうか。僕ももう少し深く使い込んでみたいと思う。これからの「秋を綺麗に撮る」、楽しみである。
◎Xマウントのほかに、EマウントとZマウントも選べる、APS-C用レンズだ。