昨日Twitterに「僕はズームレンズは数えるほどしか持っておらず、ほとんどが単焦点レンズだ」と書いたのだけど、その数えるほどしかないズームレンズのひとつが、このPENTAXの2倍ズームレンズ、HD PENTAX-DA 20-40mm f2.8-4 ED Limited DC WRだ。
ズームといっても20mmから40mmまでと2倍しかない。フルサイズ換算でいうと約30mmから60mmまでの間の世界。果たしてこの焦点領域でズームである必要があるのかと頭によぎるが、使ってみればその良さは分かる。実に、フレキシブルな単焦点レンズで撮っている感覚があるからだ。
2倍ズームといえば、Nikonがフィルム時代に初めての標準ズームレンズキットとして登場させたZoom Nikkor 43-86mm f3.5、いわゆるヨンサンハチロクが思い出される。これも僕の数えるほどの所有ズームレンズのひとつだが、人によっては特筆すべき点がない凡庸レンズという声もあるが、僕はこれまたかなり好きなレンズなのである。
何がそんなに好きなのかと言われると言葉にするのはむずかしいが、ボケ好きの僕にしては描写がシャープになる点がある。とはいえ、その描写はとても単焦点レンズ的と思える点だ。
感覚的は単焦点レンズを3本ほど持って撮っている感覚がある。広角、標準、中望遠の3つの焦点距離を用途に合わせてサッと切り替えられる点は、使うとこのうえなく重宝することに気づく。
3本の焦点距離をカバーするようなズームレンズは山ほどあるが、それを2倍ズームの中に収めたというのが、このレンズの真骨頂であろう。比較的明るいF値をキープしながらそれほど大きく重くないフォルムのバランスは絶妙という他ない。
標準ズームはその便利さと引き換えに、描写の濃厚さを犠牲にするイメージが僕にはあるが、この2倍ズームを使っているかぎりでは単焦点レンズで撮るおもしろさを個人的には維持できており、そういう意味で「とても単焦点レンズ的なズームレンズ」だと感じている。
それが光学的な設計の効果であるかどうかは僕は知識が浅くてうまく説明できないが、こうして撮った写真を見てもレンズ名を言わなければ、おそらく単焦点レンズで撮ったと言っても誰も疑わないであろう描写で少し説明がつくのではないだろうか。
さらに、このレンズの良いところは、APS-C用設計として価格も抑えられている点だ。僕的にいえば、このデザインフォルム、この描写力、この汎用性の高さでこの価格というのは、ある意味バーゲンプライスじゃないかと思っている。
僕の場合、K-3 Mark IIIを手に入れたいと考えた時、このDA 20-40mm Limitedは意識の中でセットだったんで、その後も僕の中でK-3 IIIの標準レンズになっている。その組合せたフォルムも楽しさも、専用設計のようだとすら感じている。
K-3 IIIのソリッドなんだけど人間的な挙動に、実に絶妙にフィットする単焦点的な2倍ズーム DA 20-40mm Limited。こういうレンズを用意するPENTAXに、個人的にはとても共感するし、こういうブランドのカメラを使っていることにこのうえない満足感を得ている。
ふだんストリートには持ち出していないのだけど、最近はこのフィーリングを街中に連れ出してスナップを撮りたい欲が出てきている。その時こそ、まさに広角から中望遠的な2倍ズームの本当のおいしさを堪能できるんじゃないかと思っている。
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