販売終了したのではと言われるFUJIFILM X-Pro3だけど、あいかわらず人気である様子がSNSなんかから伝わってくる。正確には、広く遍く人気というよりは、好きな人には熱狂的に人気があるといったところだろうか。
他のカメラからX-Pro3に持ち替えると、このボディが薄く、軽く、意外と凝った面構成で仕上げられていることなどに気づく。そして、あらためて「カッコいいな、しかし」と毎度惚れ惚れするというわけだ。
僕にとっては見た目もカメラの最重要項目なんで、ふだんはいちばんルックスが似合うコンパクトなフジノン XF 35mm f2 R WRを装着していることが多いんだけど、ここぞという時には少し大ぶりなレンズを装着する。それが、このXF 23mm f1.4 Rだ。
たしかに装着するとフロントヘビーになって、見た目も大ぶりになるんだけど、これもまた「撮る写真に重きを置いた」というようなムードが漂っていて、ちょっと硬派というか道具感が素晴らしい。
実際、写りについても孤高というか、僕の中では所有するフジノンレンズのなかで最も優れた描写が得られると思っている。少し大きく重くなっても、このレンズで撮りたいと思う瞬間がやはりあるのだ。
歩きながらのスナップを好む僕の場合、当然、カメラもレンズもできるだけ軽量コンパクトなものがいい。でも、そこはやはり、大きく重いものには抜き差しならない何かが詰まっているわけで、その犠牲みたいなものの代わりに胸のすく写りが手に入れられるのもレンズの宿命のようなものだ。
あと、このレンズがいちだんとクールに思えるのは、フードの存在も大きい。このフードは富士フイルム純正だが、別売りの角形タイプ。花形の純正タイプと比べ、いかにも戦闘的な造形をなし、それがX-Pro3をよりクールなカメラに見せる。ソノ気にさせてくれる、というわけだ。
僕がXF 23mmを手に入れた理由は「ブライトフレームの大きさがちょうどいい」というものだったんだけど、いまとなってはその写りと姿のクールさが持ち歩きたくなるいちばんの理由だ。そういう意味では、最も心を震わせるボディとレンズの組合せと言ってもいい。
写真機らしさは残しつつ、単にノスタルジックというだけじゃなく「やる写真機」といったところ。富士フイルムは、こういうところも手を抜けない会社というか、オプションのフードまで別に用意してでも徹底して世界観を追いかけるのが、僕にはたまらない。
この嗜好に共感してもらえる人がどれほどいるかは不明だけど、こういうことまで実際に製品化してしまうその心意気みたいなものが、ある熱狂的なファンを生み出すのではないだろうか。道具とは、そういうものなのだ。
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