いやあ、どう見てもカッコいいよなと感じるのは僕だけではないだろう。それにはやはり、少しゴチャっとしたいかにもマニュアルフォーカスらしい往年のレンズの存在が大きい。
現在でも一眼レフ機を販売し続けるPENTAXは、現行機種のK-3 IIIもかつてのフィルム一眼レフ機と同じ〈Kマウント〉を踏襲しているから、フィルム時代の往年のレンズたちがこうしてアダプター無しで普通に装着できる。
Kマウントよりさらにひと昔前のM42マウントも、マウント径やねじ込みスクリューによる装着方法こそ異なるけどフランジバック長は同じなため、専用アダプターをかませてもKマウントと同じようなルックスで使える。素晴らしい。
このレンズは1970年代の終わりから1980年代のはじめにかけて売られていたものだと思うから、40年ほど昔のレンズになる。フィルムで撮られることを前提にしているから、当然現代のデジタルカメラ向けの設計思想とも異なるし、標準域のf2という開放値を抑えたベーシックなレンズだから、なにか特筆すべき個性があるレンズでもないが、日常スナップにはむしろそれがいい。
中古価格も数千円から見つけられると思うから、そういう意味でもまったく気負いなく使える。そうやってラフな気持ちでシャッターが切れる効果もあるからか、実に自然体な写真が撮れる。けっこう寄れるんだけど、あまり寄りすぎるよりは少し離れたくらいの目線が、なんというか、外の風を感じるような気がして僕は好みだ。
まあ、つまり、撮っていておだやかに楽しいのだ。それこそ、40年の時空を超えて当時のモノづくりニッポンを感じながら、光学ファインダーをのぞいてマニュアルフォーカスで撮る行為は、やっぱりガチガチの電化製品としての機材と対峙するよりかなり情緒的だ。
そして、背面モニターに映し出されるちょっとローファイな画像と対面するのは、趣味性としてはたまらないものがある。K-3 IIIのキレのある、レフ機の中ではモダンに感じるシャッターフィールも大いに好影響を与えていると思う。新旧が混ざりあったなんとも言えない感動だ。
人それぞれ好みがあるから、これはあくまで僕個人の感動具合の話だけど、フィルム時代の時間の流れ方とかフィーリングになにか思いを馳せるものがある人は、この新旧Kマウントが交錯したひとときは、きっと心地よいものと思えるんじゃないかな。
派手さというよりも、ジワジワと心を打つような余韻みたいなものを楽しむ感覚といえばいいのかな。言葉で言い尽くすのはむずかしいけど、決して高価な機材たちじゃないし、ボディもCCD時代のK10Dなんかも安く見つけられるし、大人のほどよい散財として楽しんでみるのはどうだろう。きっといい時間と巡り会えると思うなあ。
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