FUJIFILM X-T5があまりに小さく感じたんで、試しにコンデジのX100Vと大きさを比べてみたところ、ご覧の通りほぼ正面の四角い部分の大きさはX100Vと同じなのである。これにはちょっと驚いた。
もちろん、ペンタ部的な上部の出っ張りやボディの厚みはX-T5のほうが大きく、重量もX100Vよりはさすがに重いのだけど、全体的な大きさがX100Vと大差ないわけだから、手の中の収まり具合としては思わず「小さく軽い!」と感じるのである。
僕が以前使っていたX-T2よりも小さく軽いんじゃないか?と感じるほどなので、初代機X-T1のサイズに原点回帰したと言われるサイズのメリットは、文字通り「かつての写真機」を思わせる感動があるのだ。
もちろんスペックも最新で、4000万画素を超える第5世代のセンサーや、AF性能、3軸チルト、その他X-T4からの改善点や進化のポイントは数多くある。それらを評価する声も多いのだけど、クラシックな写真機好きの僕としては、なによりそのフィルムカメラを思わせる絶妙なサイズに仕上げてきたことに拍手を送りたい。
そして、このサイズなら小型軽量のレンズを装着すれば、それこそX-E4とそれほど遜色なくストリートスナップに持ち出そうという気も起きるし、なにより物理的な重さ以上に「心の軽さ」が感じられる。それは、撮り歩く距離や構える頻度、シャッターを切る軽快さに通じる。
X-T5を手にした人の多くが感激している要因は、なりよりもまず、この「心の軽さ」なんじゃないかな。
この日常で体感する「軽さ」は、意外とお店のデモ機を触っただけでは分からないところがある。僕はそうだった。お店で触った時はそれほど「感動」するレベルではなかったんだけど、いざ購入してふだん使いとして外に持ち出してみて、あらためてその軽量コンパクトさに軽い衝撃を受けたのである。
文字でその感動をお伝えするのには限界があるけど、とにかく身軽さを求めている人であれば、このX-T5は想像以上に期待に応えてくれると思う。そして、単にスペック向上だけではない富士フイルムがチョイスした進化の方向に、思わず「やるじゃん」と唸るんじゃないかな。
世の中がミラーレスにシフトして、たしかに一眼レフに比べるとボディは小さくなった。けれど、ミラーレスの進化そのものは高機能化と共にどうしてもジワジワと大きく重くなっている気がしていた。特にフルサイズ用のレンズをつけると、ミラーレスの恩恵のはずだったコンパクトさがスポイルされてしまう感じ。
そんな、僕のような感想を抱いていた人には、このX-T5は心地いい回答を提示してくれている。「小さいは正義」とよく言うけど、これぞそのひとつの完成形であり、到達点なのかもしれない。
あのフィルムカメラで撮る時のなんともいえない軽快な感覚。それこそがX-T5を「写真機への原点」と言わしめる最もエモーショナルな性能なのである。
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