
僕はあまりに不精で、デジカメの取説なんかはほぼ見ない。まあ使い方がフィルムカメラの延長線上だったりするんで、レンズはMFが多いからAF機能はあまり必要としないし、フィルムカメラと同じように露出を合わせてシャッターを切るだけだから、それでも大抵、普通に使えるのだ。
けれど、そのおかけでこのオリンパスPEN-Fもつい最近までデフォルトのカラープロファイルなるものが存在することも知らなかったし、その中に「コダクローム64」と「エクタクローム100VS」の再現を目指したプリセットがあることも今さら気がついたところなのだ。カメラの機能をほぼ使い切れていないじぶんになかなか驚くし、呆れるばかりである。で、今朝、初めてセットして使ってみたのである。


で、ここでいくつか比較的に2枚ずつ載せていこうと思うんだけど、そもそも実は僕は本当のコダクローム64とエクタクローム100VSというフィルムを使ったことがない。なので、逆にこのオリンパスのプリセットを見て、その2つのフィルムの特徴を想像するわけなんだけど、想像するにフジクロームでいえばコダクローム64が「Provia100F」、エクタクローム100VSが「Velvia100」といったところだろうか。


つまり、コダクローム64のほうが自然の色に近くて、エクタクローム100VSのほうがより発色が鮮やかな記憶色といったところだろうか。それでも2枚を比較するとそうなるけど、エクタクローム100VSのほうもそれほどギラギラした感じは受けない。デジカメのプリセットにはどのメーカーの物にも「ビビッド」が大抵入ってるけど、それらと比べても少し落ち着いたトーンの印象がある。


それでも、デジタルでは再現がむずかしい暖色系のピンクあたりを撮ると、やはりエクタクローム100VSのほうは少しギラギラした色の暴れ方をするかな。でも嫌な感じではない。僕が露出調整を少しアンダー気味にしていることも影響しているかもしれないが。


まあでも、ここではどっちが良いとか悪いとかそういうことを言いたいわけではない。それはもう主観なんで2枚の写真を見比べて感じてもらうとして、僕が思うこと、ここに書いておきたいと思ったのは、オリンパスが公に「コダクローム64/エクタクローム100VS」をモデルにしたと言っていること、それをめざしたことだ。


この実在したフィルムの色味をデジタルで再現したということでいえば、富士フイルムのデジカメに搭載された「フィルムシミュレーション」が思い浮かぶけど、富士フイルムはフィルムメーカーでもあるからそこはすごく自然な流れなのに対して、オリンパスはフィルムメーカーではなく、具体的な他企業のフィルム名を出してまで再現する必要は本来ない。でも、そこを明確に追いかけたところに、このオリンパスという企業のカメラ愛、フィルム愛が見て取れる。
かつて米谷さんという伝説の開発者がOM-1やハーフサイズカメラを開発し、僕もそれに魅せられたひとりだけど、米谷さんの根底には常にバルナックライカがあったし、その伝統を今に受け継ぐ現オリンパス開発陣たちも、その意思を受け継ぎ現代のカメラたちにもフィルムオリンパスの良さを色濃く反映させている。僕はその意思に強く共感し、今もフィルムとデジタルのオリンパス機を愛して使っている。
その意思が明確に裏打ちされている、このコダクローム64とエクタクローム100VSの再現性が僕はたまらなくグッとくるんだ。開発陣たちはどんだけカメラが好きなんだってね。
追記)ブログ内コメントで教えてもらい、もう一度調べてみたら確かに「(誤)コダクローム100 → (正)エクタクローム100VS」だったので訂正しました。教えていただきありがとうございました!
フィルム全盛時代の常用フィルムは「コダクローム64」でした。赤や緑の深みのある発色が特徴で、特に秋から冬にかけての、柔らかく弱い光の下で撮影する季節には無くてはならないフィルムでした。
PENにそのようなエフェクトがあるとは!すごく気になります(笑)
おお、YOUさんの常用フィルムでしたか!。いやあ、ほんと僕はまだまだ知らないことばかりで、新しいカメラやレンズを買う前に、手持ちの機材で試してないこと、もっとやり尽くさないとと思ってる今日この頃です。
実は私もPEN-Fにこの機能がある事を先月知りました。外出自粛にて休日に、オリンパスのCP+2020をYouTubeで見ていてです。あと、カメラ屋でフジのフィルムシミュレーションを知り、コダックにはないのかなって検索していたのもありますが。
私、コダクローム64をOM-2,3,4に詰めて愛用していました。ここでコダクローム100と仰られているのはエクタクローム100ですね。コダクローム64の独壇場だった業界にフジが投げかけたのがベルビア(現在のベルビア50)です。深みのある発色と黒の深さが特徴かと。エクタクローム100は、忠実な色再現を目指したフィルム。目指す方向はプロビアかも知れません。ただ、仕上がりはかなり違う傾向とは思います。
もう、この事を知ってから、自分の中でPEN-Fが欲しくてたまらなくなっています。M4/3は、やっと明るい望遠をてにいれたばかりで、余裕ないのに…
フィルムカメラのPen-Fならもっているのですが。
ありがとうございます。確かにもう一度調べてみたら「エクタクローム100VS」を目指したとPEN-F発売時の記事に書いていたので、文中も訂正しました。ありがとうございます^ ^
PEN-Fのプリセットではエクタクローム100VSのほうがビビッドに感じられますが、なるほど、そうなんですね。いずれにしても開発陣の人たちのこだわりが見て取れるエピソードですね!
デジタルのPEN-Fのカラープロファイルのプリセットの一つはコダクローム64だったんですね。知りませんでした。ありがとうございます。
私はオリンパスのショールームでE-PL7の無料クリーニングに行った際、社員の方に
展示しているカメラを触って下さいと言われて、たまた手に取ったのがPEN-Fでした。
その時に何とも言えない手触り感は忘れられません。さらに社員の方がカラープロファイルの説明をされ、自分が求めているのはこのカメラだと思い、検討していたフジのX100Fをやめて中古ですが購入にいたりました^^;
撮影では殆どがカラープロファイルやモノクロプロファイルです。
自作のカラープロファイルで撮影するのが面白いですね。
モノクロプロファイルもモノクロ写真というのを自分なりに理解していくには
良い機能だと思っています。
ちょっと独特のクセはありますが、重宝しています。
今後もPEN-Fで楽しみたいと思っています。
(渋江和宏)
PEN-Fは開発者たちの込められた想いが強いというか、なんともいえない雰囲気を持ったカメラだと思います。それはやはりPEN FやOM-1の孤高の存在感に近いものがありますよね。デジタルPEN-Fはそこにより濃くバルナックライカの息も吹き込まれてる気がします。最強なはずですよね。
[…] 恋焦がれた、コダクローム64とエクタクローム100VSの世界。 https://kiokucamera.com/olympus-kodachrome-20200426 […]