春の桜だけはなぜか撮った写真たちをブログにあげていたりする。僕の本能が「記憶しておきたい」と思うのかもしれない。過去にはライカM3やバルナックライカIIIaで撮った桜の記事があるんだけど、ことしはデジカメFUJIFILM X100Vでフィルムライクにフィルムシミュレーション「クラシックネガ」で撮ってみた。
あいにく薄曇りの天気で、鮮やかなフィルム色というわけにはいかなかったけど、それはそれで少し哀愁を感じるような色味になり、これもまたフィルムシミュレーション「クラシックネガ」らしい、日本色の描写かなと思っている。僕はいつもデジカメの現像はしないから、写真はすべてJPEG撮って出しのものたちばかりだ。
桜はほんと微妙な色合いで、ピンクでもないし白でもない。形容しようのない日本独特の色というか、考えてみると肉眼で見たままの色味を写真で再現するのはいちばんむずかしいんじゃないかとさえ思う、実に繊細で微妙な色をまとっている。これ、もしかしたらいちばんカメラ泣かせの色かもしれないよね。
富士フイルムのフィルムシミュレーションの開発担当の方々がインタビューで話されていたけど、フィルムシミュレーションの中でもクラシックネガはちょっと独特で、日本的な色味として設定したと言われているのを記事で読んだことがある。まさしく、ちょっと日本的などこかせつなさというか和のわびさびというか風情みたいなものが滲み出る描写のような気がする。快晴じゃない空気の中でも、どこか「らしさ」みたいなものを味あわせてくれる写りは、国内唯一のフィルム会社らしい、この土地にあった世界なのかもしれない。
桜の鮮やかさはネガ基調のフィルムシミュレーションより、ポジ基調のフィルムシミュレーション「ASTIA」とかで撮った方がキリリと映えるのかもしれないけど、X100Vで撮る時は「映えよりも、ありのままの普通」を撮りたいという気持ちが僕にはあって、こうやってクラシックネガで撮る桜色も悪くないなとしみじみ感じたりもしている。記事下にフィルムで撮った過去記事も載せておくので、よかったら見比べてもらうとまたおもしろいかもしれない。
それはそうと、きのうこのブログへの来訪者数が100万人を超えたことを書いたけど、Twitterのほうにはたくさんの激励のコメントをいただいて、ちょっと感無量というか、またひとつがんばろうと思える春になった。写真やカメラの技術的なことを書き連ねる知識は僕にはないけど、カメラのあるちょっと豊かな時間のことなら書ける。なにかとカメラ離れのように言われる昨今だけど、カメラがあると少し人生が幸福色になることを、これからも少しずつこのブログに書きためていきたい。僕のためでもあるけど、どこかの誰かの人生に少しいい影響を与えられるように。
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