カメラへの思い

中国でも旧式のCCDカメラが人気というのは興味深い。

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今はなきCCDセンサーのCanon PowerShot G7

カメラ好きな人たちの間ではいまだによく話題に上るCCDセンサーの往年のデジカメたち。世の中のデジカメのセンサーがCCDからCMOS一辺倒へとシフトして久しいが、そのどこかクラシックな写りへの注目は廃れることなく続いている。

そんななか、以下のような記事を見つけた。中国の若者たちの間で、そのかつてのCCDセンサーのカメラたちの人気が再燃しているらしいのだ。

ネットニュースでその人気の規模みたいなのも分からないから、どれほどの勢いの現象かは分からないけど、こうして記事に取り上げられるくらいだから、なにかしらユニークな現象が見られるのは確かなんだろう。

興味深いのは、ある種マニア的なカメラフリークたちの間の現象ではなくて、カメラの機能なんかにはそれほど精通していない(おそらく機能的なことに興味があるわけでは無い)若者たちが、なんとなくレトロな写りに興味を持って行動を起こしていること。

そして、そのちょっとレトロな写りがSNSなんかで好意を持って支持されていることだろう。これは僕も同じような感覚があるけど、写りすぎないことが心地よかったり、思わずそういう写真に惹かれるということ。これは「写真」のありようにおいて凄く重要な示唆な気がする。

スマホカメラの台頭によって、カメラメーカーはスマホカメラとは段違いの写りを指向し、カメラは高級路線やハイテク路線へと舵を切ってるように見えるけど、果たしてそれはマーケット的に最大公約数的に支持される方向なのか、ちょっと考えさせられる事象のような気もしている。

かといって、これだけハイスペックなカメラの時代にあって、あえて写りの精度を下げることができるのかといえばそれもなかなか勇気のいる方向だろうし、CCDセンサーにしてもコスト高と言われるだけにそこへの回帰も容易ではないだろう。

CCDセンサーのRICOH GR digital III

もっと言えば、センサーをCCDにしただけではダメで、それは画素数を落としたり、レンズそのものの精度もあえて落とすという全体感を持ってのクラシックさがなければ企画倒れになる気もする。それは、カメラのデザインにも言えることだろう。

かつての旧式のカメラが安く手に入れられるということも、ニーズとしては大きい気がする。単純に質を落としたカメラが欲しいというシンプルな話でもないだろうから、ここはなかなか捉え方がむずかしいところだ。

けれど、現代のカメラが「写りすぎる」ということは、なにかヒントな気がする。昨今のフィルムカメラ人気の再燃しかり、どこか曖昧さやゆらぎがあってエモいと言われるその写りの質感の中にある、写真に対する若者たちの静かな声のようなもの。答えはないが、個人的にはとても気になっている。

レトロな感覚とは時代的に繰り返すブーム的なことなのか、それとも人間が欲する根源的な心地よさなのか。そのあたりの時代の振れ方にしばらく注目していきたいと思う。

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