想像以上だった、というのは、もちろん相当いい意味でというわけだ。元々ファインダーを備えていないSIGMA fpには純正オプションとして電子ビューファインダーのEVF-11の他にもうひとつ、LCD-11というLCDビューファインダーなるものが用意されている。きょうはその話をしたいと思う。
LCDビューファインダーとは、簡単に言うと背面モニターをライブビューとして使い、そのまわりを箱で暗く囲うことでビューファインダーの役割を果たすキットである。
何を言ってるか分からないと思うので、まずは以下の「まきりなさんのYouTube動画」を見ていただきたい。EVF-11との比較としても語られているので、とても理解しやすいと思う。
どうでした?。いいでしょ、SIGMA fpとLVF-11なる組合せ。僕はSIGMA fpについてはそのコンパクトさを重視して、基本はファインダー無しを受け入れてAFレンズをベースに使っていたんだけど、オールドレンズやMFレンズを試す時に「ファインダーがあると、よりピントが合わせやすいんだけどなあ」と思うところが少しあった。
そんなことを考えてる時に、ちょうどこのまきりなさんの動画に出くわして、ふむふむ、横に大きくなるEVFはちょっと馴染みづらい気がするけど、後ろに大きくなるLVFならアリだぞとイメージできたのである。
でも最大の決め手は、まきりなさんが動画の中で言うところの「映画館のスクリーンを見ているような眺め」という感覚。なるほど、それは一度は経験しておきたいと素直に思い、動画を見終わった頃にはネットで注文していたのである。(まきりなさん、この場を借りて、気づきをありがとうございます)
取り付けは、ほんとに簡単。最初の取り付け時だけ付属の六角レンチでネジを二箇所とめるけど、その後はコインを使ってネジ一箇所を簡単に取り外しできる。にも関わらず、その部品の密着度や強度はとても高くて、SIGMAの工作精度の高さにほんと驚かされる。
で、ご覧の通りの装着イメージになるのだけど、これがなかなかカッコいい。いや、凄くカッコいい。僕的にいえば、その佇まいはまるで中判フィルムカメラのハッセルブラッドのよう。写真で見るより割とコンパクトで、手に持った感じも想像以上に良い。
そして、その中判をイメージさせる決定的な要因が、この暗箱を通したファインダーの中の眺めである。そのとても広く大きく立体感が見やすい眺めが、いかにも中判カメラのあのウエストレベルファインダーをのぞいた時のソレなのである。
僕はまず試しに、MFレンズのMr.Ding Noxlux 50mm f1.1をつけて試し撮りに連れ出してみたんだけど、いやあ、その眺めの良さは圧巻。本当に映画館のスクリーンを眺めているような没入感があって、当然ながらピントの山もつかみやすい。これなら拡大表示に切り替えなくても全然OKだ。
マニュアルでピントを合わせて、それが大きなファインダーの中でニュルニュルと浮かび上がってくる様子を見てると、まさしく中判カメラのファインダーを初めてのぞいた時のあの感動が蘇るような感じ。ファインダーが無い時より格段にMFレンズがおもしろくなる。
アリか?無しか?と言われれば、完全にアリです!と言うのが僕の回答だ。というか、もうこのLVF-11は常時つけっぱなしでいいんじゃないかと思った。
というのも、背面モニターで街撮りスナップするなら、僕にはよりコンパクトなRICOH GRやFUJIFILM X100V、PENTAX Qシリーズなんかがあるし、フルサイズのSIGMA fpはもう少しじっくり撮影するカメラとして使いたいという気持ちもどこかあった。
その使い方のバリエーションとして、このLVFをつけたfpとMFレンズの「いかにも中判らしい組合せの撮影体験」が実にしっくりハマったのである。MFレンズを楽しむなら、どのカメラよりもこの組合せがおもしろい!と気づいた、と言う感覚かな。
ちなみにAFレンズもつけてこのファインダーで撮り歩いてみたけど、AFならファインダー無しのコンパクトなスタイルのほうがいいと思った。もちろんファインダーの眺めは素晴らしいけど、そこは手軽にピントが合うならやはりコンパクトを優先したいという感覚。
というわけで、僕のSIGMA fpはこのLVF-11ファインダーによって、しばらくMFレンズ専用機として楽しんでみようと思うに至った。そういう意味では、このファインダーを手に入れたことは大成功だったし、ある意味「最適なfpの楽しみ方」を気づかせてもらったと思っている。
SIGMA fpはフルサイズなのにとにかく小さい、ということがクローズアップされがちだけど、フルサイズならではのその濃厚な描写性能は速写的なスナップシューターとして使うだけではやはりもったいない。まさしく中判のようにじっくり撮るためのSIGMA fpという姿も実に魅力的だ、ということに今回気づくことができたのが、とてもうれしい。
SIGMA fpのひとつの完成形が、このファインダーをつけた時の姿と楽しみ方なんじゃないかな。僕は想像以上にそう思った。値段もそれほど高くはないので、まだ未体験の人にはとにかく一度、この組合せを試してみることをおすすめする。
僕的には、シアタービューファインダーと呼びたくなるような、ちょっと他にはない美しい眺めと、その中判カメラのような撮影感覚にいま、とても感動している。
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