いまが2024年なので、この2007年に発売されたPENTAX K10D グランプリパッケージは17年前の製品ということになる。家電製品で17年間使っているなんてモノはちょっと聞かないが、趣味のカメラの使用頻度であれば十分あり得るのである。
たぶん、このコンディションと使用頻度なら、僕のK10D グランプリパッケージは四半世紀くらいは全然使えると思う。
K10Dに限らずペンタックスのCCD機をいまでも使っている人は少なくないし、最近だと若い人の間では写りがエモいとのことで2000年代のコンデジなんかも人気が復活してるようなんで、つまり17年前だろうが「普通に使える」のである。
普通に使える条件としては使用可能なバッテリーや充電器、記憶メディアなんかを入手しておく必要があるけど、これもネット通販があれば大抵はいまでも手に入るし、僕個人は特に困ったことはない。
僕の場合は古い機械のマイルドで人間らしい挙動が好きというのもある。Leica M8は2006年モノだし、愛車のBMWも2007年モノだし、なにより壊れない以上は手放したくないという愛着が妙にわくのが、古い機械の「らしさ」だったり付き合い方だったりする。
こういう古い機械と過ごしていると、時間の流れ方がいい、というのもあるかな。それこそタッチ画面操作なんかが当たり前のデジタルデバイス社会全盛のなかで、ちょっとひと息つけるような緩さや温かみを感じるひと時。人間は、デジタルとアナログのバランスをとる上で、こういう時間が最低限必要なんじゃないかとさえ感じる。
K10Dに話を戻すと、その写りの描写もマイルドでいい。現行のPENTAX機の鮮やかな色のりも好きで愛用しているけど、CCD機時代の色は妙にせつなく儚さを感じて、ちょっとキュンとくる。こういう表現が合っているかどうかは分からないけど。
そんな心に沁みる描写と機械が、いまなら数千円から高くても二万円もあれば見つけられる。程度のいいモノに巡り会えるかはちょっと運みたいなところがあるけど、キズなんかを気にしなければ普通に道具として撮れる個体はかなりあるんじゃないかと思う。
レンズにしたってフィルム時代のKマウントレンズなら数千円から見つけられるだろうし、なんならアダプターを介して懐かしのM42マウントのレンズだって使うことができる。当時を懐かしく思って使う人にも感慨深いだろうが、当時を知らない若い人だってなかなか感激するクラシック感が味わえるだろう。
僕は富士フイルムのカメラも溺愛してるんで、最新のX100VIなんかももちろん感心しながらその人気っぷりを眺めているけど、なんだかんだで30万円ほどするからね。その1/10の値段でお釣りがくるようなこうしたカメラで遊び尽くすほうが、実は豊かなんじゃないかとは思ったりもする。
若い頃はやりたいこともいっぱいあるし、写真趣味だけにそれほど潤沢に予算をかけられたりもしない。だから安いモノを工夫して遊び尽くすわけだけど、その頃の姿ってロックでカッコいいんだよね。生きてる!って感じにあふれてる。そういう感覚を思い出せるのもまた、こうした古い機械の良さ。
もちろんフィルムカメラでガチの古い機械の良さを堪能するのもアリだけど、そこはやはりかなりお金もかかってくるんで、こうした古いデジタルカメラが俄然、財布にもやさしく心も穏やかに遊べる。試しに一台、中古カメラ屋でものぞいて連れて帰ってみるのはどうだろう。なかなか非日常的な感動があると思うよ。
そう、「あの頃」を思い出すようなね。
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