PR

GFX用の明るい新作MFレンズ、中一光学のMitakon SPEEDMASTER 80mm f1.6を、従来レンズと撮り比べてみた。

アフィリエイト広告を利用しています
FUJIFILM GFX 50Sii, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

いわゆる中判デジタルと呼ばれるFUJIFILMのラージフォーマットのセンサーを積んだGFXシリーズ。フルサイズセンサーの約1.7倍の巨大といっていいセンサーが紡ぎ出す写真描写はいかにも濃厚で、フルサイズセンサー機とはまたひと味違った魅力がある。

ただ、その分どうしてもボディやレンズは高価で、特に大口径レンズは純正だとかなりの値段になり、なかなかフルサイズ機やAPS-C機のように次々と新しいレンズに挑戦するというわけにもいかない。

そんななか、僕が先日購入したのが、中一光学がラインナップしているGFX用の大口径レンズ、Mitakon Speedmaster 65mm f1.4だ。純正のAFレンズと異なり、MFレンズとして設計されているが、主に風景写真などを撮ることが多いGFXユーザーや、スチル機としてGFXを多用している人たちには、知る人ぞ知るみたいな存在のレンズだろう。

GFXをより中判らしく感じせてくれた、Mitakon Speedmaster 65mm f1.4との出会い。 カメラを始めると、ひとは理想の描写を追いかけるとともに、それを実現してくれそうなレンズ探しの旅に出るみたいなところがある。世間は...

僕も海外のMitakonフリークの人たちの作例なんかを主に参考にして購入を決めたけど、実際に日常使いしていても開放値f1.4のそのボケの大きさや立体感はなかなか圧倒的で、購入してすぐさまGFXのメインレンズになった。

ただし、このレンズもメリットばかりじゃない。そう、よく言われる通り、とにかく重いのだ。レンズだけで重量は1,050gもあり、まさにガラスと金属の塊のようなレンズ。その圧倒的描写と重さが、なにやら天使と悪魔が同居するような感慨深さがあり僕なんかは魅力なのだけど。

と、そんなレンズと人生を共にしようと腹をくくっていたところ、焦点工房さんから「先日購入されたレンズとぜひ撮り比べてみませんか?」と連絡をいただいた。GFX用の大口径レンズについて、中一光学から新作レンズが出るというのだ。それが、きょう紹介するMitakon Speedmaster 80mm f1.6である。

中一光学 Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

考えてみると、Speedmaster 65mm f1.4が登場して5年以上経つ。公式に発表されているわけではないが、実質その後継モデルとして今回発表されたのが、80mm f1.6だろう。だとしたら、たしかに従来型の65/1.4と新型の80/1.6を撮り比べられるのは貴重な機会だと思い、焦点工房さんから新作レンズをお借りしてみることにした。

届いたレンズは、まず箱からして重厚で高級感がある。GFX用レンズとしては割安な価格だが、中一光学のレンズラインナップの中では当然、高級モデルであることを感じる。そして、中身を取り出すと、そのプロダクトとしての質感の良さがはっきりと分かる、いかにも重厚で作りの良さが手にも伝わってくる。

65/1.4は逆付けフードがセットされていたが、80/1.6は独立したフードになっていて、レンズと共に梱包されている。あらかじめ新作レンズのスペックなどは調べていたのだけど、実物を目の前にすると、明らかに軽く、小さく、しかもあらゆる部分が洗練されていることが分かる。

GFX用 Mitakon Speedmaster 上:80mm f1.6 下:65mm f1.4 共にフード装着

なんといっても、従来型の65/1.4の1,050gに対して、新型の80/1.6は833gまでダイエットしている。大きさもひとまわりコンパクトになったという感じで、ある意味ヘビー級であった65/1.4をさらに使いやすくした意図がはっきりと見て取れる。

フードの形状が少し大ぶりになったことで、ボディに装着したデザインは従来型よりもむしろ迫力があるようにも見える。絞りリングは従来型はクリック感がない仕様だったが、この新型はとても繊細でわずかにクリック感を感じるものへと進化していて、絞り値の目盛りの間隔もぐんと狭められ、実用面でもかなり使いやすくなっている。

焦点距離は35mm判換算で63mm程度。従来型の65/1.4は換算52mm程度だったから、若干中望遠よりの画角になった。絞り開放値は従来型のf1.4から新型ではf1.6と少し暗くなったが、最短撮影距離は従来型の70cm程度から新型は50cmまで寄れるようになったので、その意味でも使いやすく洗練された印象だ。

細かなスペックは焦点工房さんの公式サイトを見てもらうとして、描写のほうは参考までに試し撮りしてみた写真をいくつか載せてみた。無類のボケ好き?の僕が見ても笑、その明るいレンズゆえのボケの大きさと綺麗さは文句なしだ。従来型のf1.4からf1.6へと変更されたことは、正直使っていて特に感じないほど。

FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

それでいて、より小さく、より軽く、より寄れて、より扱いやすさも向上したとなれば、これからMitakonの明るいレンズを購入するのであれば、新型の80/1.6のほうがなにかと使いやすいかもしれない。従来型のあの魅力的な描写はそのままに、重量ほかちょっと気になる点をすべてにおいて手直ししてきた「洗練された一本」という力作だろう。

FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

一方で、従来型ともいえる65/1.4の魅力もまた健在だと個人的には感じた。どのレンズもそうだけど、洗練されることで、ある種の暴力的ともいえるボケの存在感や個性がスポイルされ、性格が丸くなってしまうことがある。僕なんかは、どのレンズにおいても初期型や旧型レンズの個性的な描写に惹かれるタイプなんで、そういう好みの人にはあいかわらず65/1.4も魅力的だ。

価格的にはどちらも同じくらいなので、ここも迷いどころかもしれないけど、ちょっと乱暴に言ってしまえば、より小型軽量で扱いやすい洗練さを重視したい人は新型80/1.6を。使いやすさよりもとにかく少しでも明るく個性的な描写を重視したい人は従来型の65/1.4を、というのが、僕が両方を使って感じたMitakon大口径レンズラインナップの感想だ。

FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

さすがに似たスペックの2本だから、両方のレンズを所有する必要はないとは思うけど、こうして2本を使ってみると、当然どちらもそれぞれ良さがあり、思わず2本とも所有してみたいという悪魔がささやく笑。基本的にはすでに購入済みの65/1.4を使い続けようと考えているが、せっかくの機会なのでもうしばらく80/1.6をお借りして、その違いをもう少し見極めていきたい。

FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6
FUJIFILM GFX 50SII, Mitakon Speedmaster 80mm f1.6

きょうはひとまず、最初に試し撮りしてみた感想とその作例的写真を紹介ということで、第一弾ブログとしてみた。また少し撮りためたら、続篇みたいなものも書いてみたいと思う。GFXやハッセル(中判ハッセル用マウントも選べる)で、できれば安く個性的な明るいレンズが欲しいという人の、なにかしらの参考になれば幸いだ。

中判デジタル機で、明るいレンズかつマニュアルフォーカスで撮るひとときというのは、やっぱりなかなか味わい深いものがある。そう、まさに「中判」で撮っているという、あの懐かしさや感慨深さがよみがえる感覚も含めて。純正レンズとは異なる魅力がそこには明らかに存在している。

◎「従来型」と「新型」という表記はあくまで僕の個人的解釈で、公式にアナウンスされているものではないのでご了承を。撮り比べの分かりやすさという意味で、そういう呼称を今回は用いました。

関連記事