FUJIFILM Xシリーズ レビュー

ファインダーのある「高価すぎないFUJIFILM機」 X-T30 III発表。

アフィリエイト広告を利用しています
FUJIFILM X-T30 III 写真は公式HPより

きょう10月23日、噂されていたX-T30 IIIが正式発表となった。ここ最近、FUJIFILMはかなり意欲的に新製品を出し続けていたから、今年のうちにさらに新製品を送り出してきたのは、個人的にはちょっと驚いた。

X-Tシリーズといえば、FUJIFILMはX-T5の下にX-T50という小型機を新たに据えている。カメラが全体的に高級化しているなかで、X-T30系はII型までで終了し、そのポジションをよりハイスペック化したX-T50にバトンタッチしたのかと思ったら、なんとX-T50の下にX-T30系のIII型までラインナップしてきたのだから、なかなかの攻勢である。

これでEVFを搭載しているXシリーズとしては、最も手にしやすい価格の「FUJIへの入り口」ができたことになる。手にしやすい価格帯としてはファインダーを排除したX-M5があったが、できればファインダーのある低価格帯のFUJI機があればいいのに、と思っていた人にはまさに朗報と言えるだろう。

新製品といってもパッと見は前作とまるで同じかのように見える。価格を抑えるためだと思うけど、センサーも先代と変わらず、プロセッサーを最新型にアップデートすることでAFスピードなどはかなり向上しているらしい。

あとは、わかりやすいIII型の特徴としてフィルムシミュレーションダイヤルを採用し、最新のフィルムシミュレーションがすべて使えるというのが売りといったところだろうか。そういう意味では、派手な新製品というよりはマイナーチェンジ版の製品と捉えたほうが分かりやすいかもしれない。

製品のポジショニングとか価格帯の捉え方としてはそういったところだと思うけど、じゃあエントリー機なのか?というと、そう単純な話でもないように個人的には感じている。なんといってもファインダーがありながら、ここまで小さく軽いカメラだから、それはけっこう優秀なスナップ機とも言える。

レンズ交換できる軽量コンパクト機だから、それこそパンケーキタイプのレンズを装着すれば、最新のスナップシューターができあがる。ブラックボディを選べば、可愛いというよりはかなりクールなのではないだろうか。

僕が使っているX-T50のブラックボディもなかなか精悍だが、片手で振りまわすスナップ機としては、それ以上にラフでカッコいいとも思える。どうだろう。

実売価格だとボディ単体で15万円ほどになるのかな。たしか同じAPS-CのRICOH GR IVはもうちょい高価だった気がする。それでいてX-T30IIはレンズ交換を楽しめるわけだから、これはなかなか攻めた存在でもある。

まあ、このカメラをストリートスナップなんかに本格的に使おうと考える人がどれだけいるかは分からないが、単にエントリー機として捉えるのはなんかもったいない気が。さすがにX-T50を使っている僕はX-T30 IIIを購入するつもりはないが、軽量コンパクトな写真機好きとしては気になる一台であることは間違いない。

こうした製品には、いちおうコアターゲットや主な使われ方が想定され、宣伝スタイルとしてもそういう方向で展開される。が、しかし、そういう使い方とは異なる、ある意味じぶんならではの使い方を見出すのもまた、カメラを使いこなすおもしろさなんじゃないかと思う。

ここのところ高価な製品イメージのあったFUJIFILMに「高価すぎないニクい奴」が誕生したとも言える、こんどのX-T30 III。僕はクールなスナップシューターとして使われる様子なんかに注目して、このカメラの行く末を眺めていきたいと感じている。

関連記事