注文していたGFXとKマウントのアダプターが届いたので、三連休の中日の日曜日、早速装着して近所を少し撮り歩いた。カメラはFUJIFILM GFX50SII、レンズはペンタックスの至宝 smc FA 77mm f1.8 Limitedだ。
外はあいにくの雨だったが、目の前にこの組合せの機材があって我慢することはむずかしい。幸い小雨だったので傘で機材を守りつつ、誰も歩いていない散歩道を静かに歩く。
いわゆる中判デジタルと呼ばれる富士フイルムのラージフォーマットは、フルサイズセンサーの約1.7倍にもなる大きなセンサーを積んでいる。写真の根幹でもある「光をとりこむ」という観点でいえば、その描写の精密さや階調の豊かさは、背面モニターを見ただけでも違いとして伝わってくる。
GFX50SIIは一億画素まではない、その半分の5000万画素強のモデルだが、それでも写真再現の緻密さはやはり格別で、この写りに耐え得るレンズはさすがに純正フジノンレンズじゃないと魅力を引き出せないんじゃないかと考えていた。
事実、レンズキットであるGF 35-70mmズームでしばらく撮っていたけど、その写りは明らかに他のセンサーサイズの機材で撮ったものとは異なる。(僕の個人の見解だけど)
だけど、GFXユーザーの多くの人がオールドレンズで楽しんでいるというツイートなんかをちょくちょく見かける。オールドレンズらしい味はあるだろうけど、わざわざGFXの画質を落とすような撮り方というのもなんかもったいないような…と僕も最初は思っていた。
で、GFXとオールドレンズのことをいろいろ調べていたら、ネット上のブログやSNSのポストで、35mm判用のレンズで撮っている人たちのポストをけっこう見かけた。で、決定的に僕の興味をさらったのが、ペンタックスのFA Limitedレンズで撮っている人たちの存在だ。
なんと、僕が所有するペンタックスのレンズたちがGFXで使えるのか?。だったら、アダプターさえ入手すればそれほどお金がかかるわけじゃないし、まずはじぶんの手と目で実際に試してみようじゃないかと。
正確にいうとsmc FA Limitedレンズはオールドレンズと呼ぶほど古い時代のものでもない。でもフィルムカメラ用に作られたレンズなんで、間違いなくデジタル専用レンズとは味付けや設計思想も異なる。まずはこの半オールドのようなFA Limitedでマニュアルフォーカスのレンズを試してみようと。
それで撮った結果、個人的に納得感があれば、それこそタクマーやロッコールといったザ・オールドレンズなんかも持ってるから、その世界へ踏み出してみようと。
アダプターは安価でいつも助かっているK&Fのものを注文。7,000円台だったと思う。出費はまさにこれだけ。あとは所有するフィルムカメラたちのレンズを使えばOKなのである。使わない手はない。
GFX50SIIのEVFでもピントの山はしっかり掴めるし、FA LimitedのピントリングもMFレンズに近いフィーリングを持ってるんで、撮影はまさにフィルムカメラで撮っているようなリアリティがある。
前にも書いたけど、僕はこのGFX50SIIのシャッターフィールがとても気に入っている。多少静かすぎるという声もあるけど、一枚一枚シャッターが切れる感じ、一球入魂な所作がいかにも中判らしいのである。
描写のほうは、僕にはそれを評価する知識も腕もないので、ここに載せた写真を見て判断してもらえたらと思う。先述したぼんしゅーさんのブログに詳しく載っているけど、周辺減光はあるけどそれはかえって僕的には好みで、写真にノスタルジック感を載せてくれる。
たしかに純正フジノンレンズと比べると描写はあまいけど、それは劣っているとかそういう次元ではなく、フジノンとはまた別世界の儚さや美しさがある。この世界は「アリ」なのだ。ちなみにこのFA 77mmはラージフォーマットだとフルサイズ換算で約62mmになり、そこがまた使いやすい。
GFX用の純正フジノンレンズは安いものでも10万円以上する。明るい単焦点ともなると数十万円するから、そう簡単に次々とは買い足せない。その意味でも、35mm判の身近な単焦点レンズなんかが使えるのは、コストの面でも趣味人にはありがたい。
で、初めて撮ってみた写真たち、どうだろうか。少しそのニュアンスみたいなものは伝わっただろうか。まあ、まだ手にしたばかりだから、試し撮り本番はこれからという感じだけど、僕の初日の素直な感想としては「これはなかなかヤバいものを見た…」という感じだ。
僕が敬愛するフジとペンタックスのいわば夢の共演なので、多少贔屓目に見ているところはあると思うけど、それでもこの両者が紡ぎ出す描写の世界は、これまで見てきたものとは別世界の何かが宿っている、そう感じるのである。
オールドレンズを多用しようとGFXを手に入れたわけじゃないのだけど、これはちょっとあぶない世界を目撃してしまった…という心の奥底から噴き出る何かがある。
この続きの感情は、またこのブログで引き続き語っていきたい。よければまたお付き合いを。
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