きょうは、アジアのユニークなレンズを日本国内に紹介している2ndfocusさんから、アストロリ待望のAFレンズ1作目となるポートレイトレンズを送っていただいたので、その使用感とか描写について書いてみたいと思う。
2ndfocusさんはおなじみ焦点工房さんのグループ会社で、中国製レンズをはじめアジアのレンズ界隈にも精通しているから、製品についても2年保証がついているなど安心だ。初めて中国製レンズの購入を検討している人でも安心して利用できるだろう。
今回、試写用に送っていただいたレンズは、AstrHori AF 85mm f1.8で今年2024年の夏前に発売された、アストロリブランド初のAFレンズとなる意欲作。その気合いの入りようは、実物の質感や操作感の質の高さからも大いに感じとれる。
アストロリブランドの特徴でもあるメッシュ調の凝ったローレットデザインが、あいかわらずクールでカッコいい。そして、いかにも贅沢にガラスを組み込んで作られたであろう筋肉質的なフォルムが、撮り手のやる気をそそる。
全身、金属の塊的な作り込みの良さは、たぶん手にした人はプロダクト的な仕上がりの良さという意味でも、大いに満足感を得ることだろう。Nikon Zfとのデザイン的相性もばっちりで、このマッチョなフォルムはフルサイズのカメラに実によく似合う。
早速、散歩に持ち出して試し撮りをしてみたので、その描写の雰囲気などは写真を見て参考にしてもらえればと思う。2ndfocusさんのカタログによると、8群9枚のレンズ構成で、9枚の絞り羽根によりソフトで美しい玉ボケを表現するとのこと。実際、撮ってみてもそのボケ具合は、さすがポートレイトレンズという美しさ。
MC多層膜コーティング(イエローレンズ)によってフレアやゴーストも抑制し、強い光源下での撮影時にもコントラストを向上させる作りだという。アストロリのレンズはどれも、こうした基本設計が実にしっかりしていると、いつも使用してみて感じるポイントだ。スペック以上に情緒的価値にも相当こだわっていると感じる。
注目のAFもステッピングモーターで静かにスパッと決まり、純正レンズと比べてもストレスなく使えるだろう。ある意味、中国製レンズのなかでもAF後発ということで、かなり研究し尽くして開発・製造されたことが伺える。今後のファームウェアへの対応も可能なUSB端子がついているので、容易にPCとの接続も可能だ。
最短撮影距離は79cmということで、それほど寄れるレンズではないが、このあたりの数値はNikon純正の85mmのレンズなどとも同等で、ポートレイトレンズとしてのスタンダード性能が備わっていると言える。
個人的には絞りリングがあるとなお良いと最初は思ったけど、実際に使ってみるとほぼ絞りは開放付近固定で撮り歩くため、杞憂に終わった。とにかくレスポンスが気持ちいいから、リズムよく次々とシャッターが進む。ある程度の大きさと重さがあるのだが、撮っているとそれを忘れる使い良さがある。
僕はふだん人物撮りはあまりしていないのだけど、このレンズを使っていると思わず人物ポートレイトを撮ってみたいなという衝動にかられる。少し離れて草花を撮っていると、目の前に人がいるシーンを撮っているようななんともいえない心地よさがあるのだ。
そのいかにもリッチな描写感はさすがポートレイトレンズと銘打つ逸品だと思うけど、この焦点距離の明るいレンズとなると純正レンズなどはなかなかのお値段になる。それからすると、半額程度の5万円を切る予算で検討可能なAstrHori AF 85mm f1.8はかなり魅力的な一本だと思える。
もちろん、人物撮りだけじゃなく、僕のように散歩レンズとして使うのもリッチな気がして、間違いなくシャッターが進むだろう。アストロリのレンズは、凛々しさと美しさが同居する、とても個性的なプロダクト。僕は実はひそかなファンで、今後のアストロリブランドの進化にも注目している。
これから秋冬の大地が色づく季節、このレンズとともに秋の道を歩きながら、最愛の人やモデルさん、また繊細な造形の自然美などを撮るのは極上のひとときだろう。そんな妄想がひろがるのも、このレンズを試写して感じた大きな特徴のひとつ。機会があれば、ぜひ一度試してみてはいかがだろう。
◎詳しくは2ndfocusさんの公式サイトやAmazon公式ショップでご確認ください。なかなかシビれる作りとスペックです。