
近ごろ、ライカが音頭をとってレンズメーカー各社とアライアンスを組んでいるLマウントが、参加メーカーが増えたりといちだんと活気づいている印象がある。
このTTArtisanのLマウントレンズの登場も、手頃な価格でより幅広くレンズバリエーションを楽しみたい人には待望のトピックスではないだろうか。
新登場となったLマウント版のTTArtisan AF 75mm f2を、おなじみ焦点工房さんから試写用として送っていただいたので、今回はその試し撮りしてみた感想などを書いておきたい。
使用したカメラはSIGMA fp。わが家にある唯一のLマウントのボディだが、その唯一無二のコンパクトなフルサイズボディと、毎度圧巻に感じる画力が魅力で、僕の頼もしい常用機材のひとつになっている。
ふだんはレンズキットにもなっているContemporaryのSIGMA 45mm f2.8 DG DNをほぼつけっぱなしにして使っている。fp購入当初はオールドレンズなどMFレンズも楽しみたくて、外付けファインダーとなるLVF-11やEVF-11も別途装着したりしていたが、結局はfp本来のコンパクトさを活かしたくて、いまはピント合わせに困らないAFレンズが個人的には必須なのだ。



とはいえ、AFのLマウントレンズとなると、所有バリエーションを増やそうとするとなかなか値段も張って、そう易々とはレンズを買い増すことはむずかしい。そんなところに手頃な値段で優秀なレンズをどんどん送り出している、まさにレンズ界の元気な存在といっていいTTArtisanから、中望遠でしかも明るいレンズが登場となったのである。これはLマウントユーザーにはなかなか魅力的な選択肢だ。
このレンズは、これまでもNikon ZマウントとSONY Eマウント版が登場しており、まさにコンパクトで明るく、しかも手頃な価格で手に入れられる中望遠単焦点レンズとあって人気を博していた一本。他のマウントでも使ってみたい人も多かったんじゃないかと思うけど、ついにSIGMA fpなどLマウントユーザーも手に入れられるようになった。






ビルドクオリティはここ最近のTTArtisan AFレンズシリーズ同様に、軽量なんだけど実にモダンかつ洗練されたデザインで仕上げられてると思う。うれしいのは、そこに絞りリングが与えられていることだ。TTArtisan AFレンズのすべてに絞りリングがあるわけじゃないから、これは物理的に絞りリングを望む嗜人にはかなりうれしい仕様だろう。僕もまさにその一人だ。
描写のほうも、先行していた他のマウント版で人気だったゆえに、僕も少し撮っただけで「なるほど、これはいいレンズだ」と感じた。f2とやや落ち着いた開放値だから、開放である程度撮りっぱなしできるし、その開放描写も破綻することなく実になめらかなボケを醸し出してくれるなと。オールドレンズのような甘さを感じつつ、現代的なレンズのソツのなさも感じさせる、その収差の塩梅もまさに僕好みなのである。






最短撮影距離は75cmで、これも概ね他の明るい中望遠レンズと同じ程度なので、ポートレイトレンズとして使いたい人にも馴染みのある距離感だろう。AFも現在のTTArtisanのAFレンズの進化の渦中にあるまさに最新機だから、普通に撮る分には不満を感じることはまずないだろう。
と、別に忖度することなく、普通に「いいレンズ」として評価できる点が多いなというのが率直な感想だ。なりより、この性能が3万円台後半で手に入れられるようになるのだから、手頃な価格でレンズバリエーションを増やしたいLマウントユーザーには、間違いなく選択肢が増える点で朗報である。






このレンズのことをSNSでつぷやいたら、気に入ってZマウントとEマウントを両方手に入れて楽しんでいるというフォロワーさんもいた。そうやって趣味のユーザーでもバリエーションを増やしやすいのが、なんといってもこの価格帯のレンズの魅力だろう。
Lマウントボディを使っているけど、中望遠単焦点はまだ未開拓という人は、このレンズで人や自然の草花をポートレイトして楽しむというのもおもしろい入り口だと思う。僕も引き続き試し撮りを続けて、もう少しこのレンズの魅力を探っていきたい。そんな続きは、またこのブログで。ではでは。