Nikon Z fcが手元に来て一年が過ぎた。あらためて一年が経つのは早いなと感じる。歳をとると、本当に時間の経過が恐ろしく加速していくのだ。
このスピードでいくと、5年10年もあっという間な気がするけど、僕はさらに歳をとってもZ fcは変わらず生き続けていくのだろう。そう、このクラシックなスタイルは、これ以上古くなりようがないのだ。
プロダクトデザインにはその時代のトレンドのようなものが少なからず反映される。それはそれで数年後にヴィンテージ感を感じられて味があるのだけど、Z fcのようにある種、何年経とうがぐらつきようのない不変のクラシックデザインというのも、強い。
僕はこのZ fcの購入を検討した時、ふとそんな10年後、20年後も変わらない親しみのようなものを想像して、最終的に手に入れることを決めた。
そんな先のことは分からないから、もしかしたらなんらかの理由で別れがやって来ることがあるかもしれないけど、そうでない限り、このZ fcを駆動させるバッテリーさえ確保できれば、Z fcは20年後も涼しい顔をして活躍してくれているのではないかと思う。Nikonの耐久性のイメージがそう思わせる。
まだ傷ひとつないZ fcなんだけど、ちなみにハードに使い込んでいったら、ボディのヤレはどんなエイジングを感じさせるのだろうか。さすがにフィルム機のように真鍮色が顔を出すような雰囲気にはならないだろうけど、このクラシックなスタイリングゆえにちょっと気になるところ。もうすでにいい感じでヤレてきましたよ、という人がいれば、ぜひその様子を教えてほしい。
よく実家や親戚の家へ帰省した際に、押し入れの中からお爺ちゃんの古いクラシックカメラが出てきた、なんて話を聞いたりするけど、20年後くらいにこのZ fcもそんな風に言われるのだろうか。なんか、それはそれで他のデジカメとはちょっと違う風に語られそうで興味深い。
考えてみると、このZ fcなんかも一台あれば万能で、どんなシーンでも人生を共にできると思う。そういう意味では、いろんなカメラを買い揃えずに「人生はこのZ fc一台で」なんていうのも実にカッコいい。レンズはいろいろ増えつつも、ボディはこのZ fcだけというのも、ミラーレスならではの楽しみ方だと思う。
Z fcはいつも、部屋の中の目につくところに置いている。それは、眺めても楽しいカメラであることに他ならない。Z fcの成功を契機に他メーカーからもクラシックラインならぬレトロなスタイルのカメラたちが出てくるのではと期待したけど、さて今後はどうだろう。
まあ、20年間も使い続けられると、新製品を常に売りたいカメラメーカーさんにはうれしいような悲しいような出来事かもしれないけど、それだけ長きに渡り使い続けている人がいてくれること、そしてその人がおそらくいろんなシーンでその愛機を披露してくれていることは、なにより偉大な宣伝になると思う。
長く使い続けられることは、プロダクトにとっては何より偉大な最高性能だろうと。実用品から嗜好品へと転換してきたカメラというプロダクトが、今後どんな年の重ね方をするのか、興味深いところである。
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