カメラへの思い

飽きないカメラの、その理由みたいなものについて。

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FUJIFILM X-Pro3

僕が好きなカメラというのは、考えてみると「普通ならちょっと不完全」と思えるようなモノが多いかもしれない。この場合「完全なモノ」という定義もむずかしいのだけど、仮に例えるなら過不足なくいい感じに写真が撮れるカメラというのが「まあ、完全なモノ」ということかな。

それに対して「不完全なモノ」というのは、ちょっとストレス?を感じるというか、不便というか、最低限ちゃんと撮らないとなかなかまともな写真が撮れないモノということになる。

筆頭はやはりフィルムカメラだろうか。

Nikomat FTN

僕もフィルムカメラは電気を使わない機械式のモノから、テクノロジーの通過点でもあった電子式のプラカメ、あと最強かつ最後のプロ機だったNikon F5やF6までひと通り使ってきたけど、まあお約束通りというか、いろんな失敗も経験してきた笑

それはそうだ。まずフィルムの装填からして手間だし、そのやり方に作法というか割と癖を要するカメラが多い。それこそ、フィルムの入れ忘れ、撮影途中の裏蓋開放、レンズキャップの外し忘れとか、あげるとキリがない。でも、それが楽しいのだ。

背面モニターなんて無いからその場で撮った写真が確認できないなんて…そんな状況下でよく写真を撮ってたなと今なら思うし、現像からあがってくるまでの場合によっては数日や数週間かかるあのタイムラグとかはなんなんだと笑

でも、得体の知れないフレアやゴーストが出ると妙にうれしく、フィルムの1枚目(0枚目か)のあの写真がちぎれた感じなんかは、もはやフィルム撮影でいちばんの大好物だったりする。ですよね?笑

Rollei35, Kodak Gold200

そういうなんとも楽しい思い出を引きずってしまっているから、デジカメについても、なんだかサラッといい感じの写真が撮れてしまう便利高性能機より、どこか撮り手に苦労を背負わすようなカメラが好きなのだ。

例えばFUJIFILMのX-Pro3なんかは典型だ。OVFで撮れるんだけど、ピント合わせはたまに外すし、手ぶれ補正なんか無いからしっかり構えないとブレるし、撮った直後に画像を確認しようと思えばいちいち隠しモニターを開かないといけないから、あゝもう面倒くさいから次を撮るか…なんて思う、絵に描いたような不便さを持ち合わせてるんだけど、これがおもしろい…。

FUJIFILM X-Pro3 背面のサブ液晶

いや、それがやっぱりストレスに思えて手放す人もいるんだけど、この不便さをしみじみ感じるある時期を過ぎると…これが一気にヤミツキな世界へと突入していく。そうすると、もはや永久に手放せない何かを感じ始める。単なる見た目の嗜好性だけじゃなく、X-Pro3の真髄とは、そういうカメラのある種ぎこちなさなのである。

X100VIが人気なのも、例えばレンズ交換ができないことにあったりする。30万円近くもしてレンズが交換できないとは何事か!というのが普通の感覚なんだろうけど、まあ、みんな「普通じゃない」を求めてる。それはやっぱり趣味のカメラだから。上手く撮れることよりも、カメラのひと癖や二癖と戯れたいわけである。

FUJIFILM X100V

僕は古いデジカメも好むけど、そんなカメラも一言でいえば「ちょい不便なのが楽しい」のだ。なんかプラモデルを組み立てる感覚とかに近いのかな。完成品を苦労なく手に入れるより、ちょっとあくせくして完全(いや、それでもどこか不完全な感じ)をやっと味わえる、あの感覚のような。わかってもらえるだろうか、この感覚笑。

でも、そういうひと癖あるカメラやレンズと対峙して、予期せずいい写真が撮れる瞬間がある。それは、じぶんなりに工夫とか訓練みたいなものを重ねながら、ある時偶然性とかけ合わさって、突如として好きな写真が撮れたりする。カメラがオートで撮ってくれるんじゃなくて、僕とカメラの共同作業で撮れる何か。それがいいのだ。

レンズも基本的に古いモノが好きだ。いわゆる精巧な写真とは違うかもしれないけど、心が歓ぶ写真は大抵、ちょっとあまくて、世の中的には失敗写真と呼ばれるものかもしれないけど、そういう描写のほうが「馴染む」。

FUJIFILM X-E4, Jupiter-8 50/2

それが、フィルムライクなものがいいという感覚なのは間違いない。過去の体験をひきづってるのだけど、それを忘れたくなくて写真を撮り続けているようなところがあるから。

写真の良し悪し、好き嫌いは、人によって捉え方はさまざまだから、僕が書いていることがまったくハマらない人も多いと思う。それでいいし、そうじゃなければ趣味性という解釈は自由度のない面白みのないものになっしてまうからね。

FUJIFILM 初代X100 Black Limited Edition
左がPENTAX Q10、右がPENTAX Q-S1。
Nikon D200, Ai AF 50/1.8D

まあ、でも、カメラやレンズのおもしろみを先進性に置かなければ、新製品が出るたびにオロオロする必要もないし、心穏やかに所有機材や比較的安く手に入れられるヴィンテージものですこぶる楽しめる。趣味の範囲で無理せず写真の世界を堪能できたりするから、今一度「写真の何が面白かったんだっけ?」とか「何のために写真を撮ってるんだっけ?」とか振り返ってみるのはいいかもしれない。

なんかスーッと通り過ぎるんじゃなくて、いちいちじぶんを立ち止まらせるというか、ちょっと手をかけさせるモノが、結果として「飽きないカメラ」だったりする、というのが僕のある種の到達点だ。あくまで僕の個人の感想だけどね。さて、みなさんにとっての「飽きないカメラ」とはどんなカメラたちだろう。

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