Nikon Z fc

クラシックなデザインというより、カメラの根源的デザイン。

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Nikon Z fc

このカメラ、何だかお分かりだろうか。カメラクラスタの人たちならすぐ分かると思うけど、そう、NikonのZ fcというカメラである。

こう見えて、昨年夏に発売されたばかりの、最新ミラーレスカメラのひとつ。

こう見えて、と書いたのは、カメラに詳しくない人なら、おそらく「フィルムカメラ」だと思うんじゃないかなということ。

それほどまでに、このNikon Z fcというカメラのデザインはレトロでクラシックだ。

でも、どうだろう。Twitterなんかを見てると、特にカメラビギナーと思われる人たちなんかは、クラシックデザイン好きだからこのカメラが欲しいというより、パッと見た瞬間に「かわいい」とか「カッコいい」という第一印象でZ fcを気にしているように見える。

僕なんかは往年のNikonのフィルムカメラが好きだから、このヘリテージデザインと呼ばれる復刻的デザインに哀愁を感じるわけだけど、フィルムカメラを懐かしむというわけではない人たちにもシンプルにこのデザインが届いていることに、軽く驚きを覚える。

そう、フィルム時代のカメラのデザインこそ、この道具の美しさを最も根源的に表現していたんじゃないかと。

カメラ上面のいわゆる軍艦部と呼ばれる部分には、その名の通り軍艦の甲板の上のようなごちゃごちゃとしたパーツが所狭しと並べられている。

フィルムカメラ時代には当たり前についていたシャッタースピードダイヤルなんかなわけだけど、デジカメ時代ではオートで撮る便利さなんかを考えると、こういう物理ダイヤルは無くてもいいし、実際、ビギナーの人じゃなくても絞り優先撮影なんかをする人であれば、こうした露出関連のダイヤルは触らず撮影することも少なくないはずだ。

でも、こうしてダイヤルがごちゃごちゃあるデザインに人はそそられたりするのだ。考えてみると、実に不思議な現象である。

でも、振り返ってみると、フィルム時代のカメラのデザインは、大抵どれも21世紀のいまでも実にユニークで心惹かれるものがある。

おそらく多くの人が、最新かのカメラが並ぶ家電量販店のカメラコーナーに足を運ぶより、中古カメラ店のショーケースに並べられたカメラたちを眺めるほうがワクワクすると思う。

これはもう本能的に、みんなそうなんじゃないかな。

言い過ぎかな。でも、Nikon Z fcが久々のヒット商品として話題になったことを考えると、マニアックなんじゃなくてポピュラーという意味で多くの人に受け入れられたデザインだったんだと思う。

FUJIFILM X100V

ちなみに僕はFUJIFILM Xシリーズのカメラたちも大好きだ。これも、そのクラシックなデザインが大いに影響していることは間違いない。そして、それは年配の人たちだけの現象ではなく、若い人たちのほうがむしろFUJIFILMのカメラたちを支持しているようにも見える。

スマホでもたしかに写真は撮れるんだけど、この道具としてのデザインを愛おしく思いつつ写真を撮るという感慨深さについていえば、カメラで撮る楽しさはスマホには代用できない唯一無二のもの。

そういう「体験的価値」みたいなものが支持される世の中のほうが、やはり文化的で豊かだなと思うのである。

デジカメの便利さを享受するならあえて使わなくてもいいダイヤル類だけど、あればあったで美しいし、いざじっくりと撮る余裕がある時はアナログ感覚でダイヤルをカチカチ動かして撮ることもできる。

いわば、これこそ現代らしいアナログとデジタルのハイブリッドなかたち。

こういう「クラシックライン」とも言えるラインナップが、各社の製品ラインナップに必ず存在していて良いんじゃないかと思うのは、僕だけだろうか。

このカメラの根源的デザインに回帰することで、カメラの復権がある気がしてならないのである。

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