いやあ、それにしてもカッコいい面構えだ。カメラボディの上下に刻まれた「Kodak」のロゴは、写真好きな人間ならちょっと胸踊る何かを感じるはずだ。
僕もこのカメラの詳しいスペック云々よりも、まずはこの凛々しい佇まいに心奪われ、ある意味「フルサイズデジカメの原点」とも言えるこのカメラを一度は体験しておきたい、と思ったのだ。
その名も、Kodak DCS Pro SLR/nというフルサイズ・デジタル一眼レフである。
僕自身がこのカメラのことに詳しいわけじゃないので、詳細は以下に当時の関連記事のリンクを貼っておくので、公式発表時の内容はそちらをご覧いただきたい。
要約すると、2004年にKodak社がアメリカをはじめ、日本など世界で発売を開始したフルサイズ・デジタル一眼レフカメラで、NikonのFマウントを採用。
1371万画素のフルサイズCMOSセンサーは、当時としてはニコン(D3)やキヤノン(1Ds)よりも早くフルサイズを採用した意欲作ということになり、そのフレーズだけでもちょっと興味がわいてくる。
まあ、カメラの原点のような写真機に惹かれる僕としては、ちょっとこれは体験せずにはいられないカメラ史に残る一台、というわけだ。
ベース機はNikon F80ということで、同じベース機を採用したFUJIFILM S2 Proとも佇まいがよく似ている。僕はNikon F80もFUJIFILM S2 Proも両方所有してるんだけど、それらと兄弟機のような存在感も惹かれた理由のひとつだ。
ルックス上の特徴はなんといっても大きなバッテリー部だろう。大きく前面に張り出したこの部分に「Kodak Professional」という文字がドーンと入り、このカメラが当時としては「フルサイズ」で只者じゃない…ということを主張していたのだろうとも思う。
ここに専用バッテリーと専用バッテリーチャージャーが用いられているので、このカメラを手に入れるなら、これらのバッテリーがひとまずきちんと動作するかどうかがポイントだ。幸い僕が手にした個体は、バッテリー2本とチャージャー共にまだ動き、ちょっと感動を覚える。
無事に充電して少し試し撮りしてみた感じでは、機能がシンプルな時代なモノだけに、特に使い方で迷うこともない。感度も1600までいけるので、日中に使う分にはなんら問題もない。Nikon Fマウントのレンズが使えるということで、こちらも所有のレンズでいける。僕はひとまず50mm f1.8のDレンズを装着してみた。
描写の質感は、いわゆるデジカメ初期の懐かしさを感じるものだが、CCDではなくCMOSが採用されているので、当時の描写傾向でいえばNikonよりもCanonに近い描写だろうか。いかがだろう。
個人的に興味深いのは、このフルサイズセンサーがKodak製なのかどうかということ。Kodakといえば当時はCCDセンサーのイメージがあり、僕が所有するLeica M8もCCDセンサーだ。しかし、M8がまだフルサイズではなくAPS-Hだったことを考えると、DCS ProではフルサイズにするためにCMOSを採用したのでは?と思えるのだが、どうだろう。
このカメラの解説には程遠いことしか書けず申し訳ないが、このあたりがいまのところ僕が把握していること。でも、スペックにはもともとあまり興味がない人間なので、とにかくこのカメラから漂うクラシックなオーラを存分に堪能できれば、まずは満足だ。
というか、このボディを眺めてるだけでも、なにかこころにジンとくるものがある。古い機械が何十年も動き続けるという事象も、僕は好きだ。できれば、あと何年、いや何十年も動き続けてくれると、ただただうれしい。大切に使っていきたいと思う。Kodakと写真の歴史を感じながら。
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