本と音楽と余暇

写真集「まだ見ぬソール・ライター」に没入する心地よさ。

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写真集「まだ見ぬソール・ライター」と土曜日の午前。

僕のブログに立ち寄ってくれる人たちにはお馴染みの写真家だろう。ソール・ライターである。僕が写真を始めた頃にSNSなんかでも注目を浴びはじめていて、そういう意味でも個人的に最も親しみと憧れを抱く写真家かもしれない。

雪の中の赤い傘が印象的な図録「ソール・ライターのすべて」は何年か前に手に入れて、それこそじぶんの写真がちょっと退屈に思えた時にふと眺めては心を落ち着かせている。まあ、こころが落ち着くだけで僕の写真は一向に上達することはないが、ソール・ライターの写真集を眺めると、ひとまず無性にシャッターが切りたくなるから、その効果たるや絶大なのだ。

書籍「ソール・ライターのすべて」

そんな心の師匠のようなソール・ライターの最新作が「まだ見ぬソール・ライター」という写真集である。有名写真家の作品集はアマチュア写真愛好家にはなかなか高価な代物で、そうそう買い求めるのはむずかしいのだけど、この写真集はたしか4,000円前後で買えると思うので、結論から言うと「買い」である。

当然のことながら、このブログのなかでは感想めいたことは書かない。それは、ごじぶんで手に取ってもらったページをめくり、想像を超えたハッとする瞬間を堪能することがたのしみなので。でも、何も語らずとも「この写真集が買いであること」だけは伝えておいたほうが良いと思って、ブログを書いている。

紙質、その匂いも素晴らしい。(データはボカシ)

ソール・ライターの代表作たちはコダクロームをはじめ3種類ほどのポジフィルムで撮られている。晩年こそ世界で超人気の写真家として知られる存在になったが、元来じぶんから積極的に写真を披露する人間ではなかったゆえ、多くの名作たちが世に知られることなくソール・ライターの部屋にひっそりと眠っていた。

お金がなかった時期もあり、そんな時にポジフィルムであればプリントせずともスライドとして楽しめたことは幸いでもあったらしい。そうそう、ソール・ライターの写真集を見ると、カラーで撮りたくなるし、ポジフィルムで撮りたくなるというのは、誰しも感じることだろう。

その少し色褪せたポジフィルムの質感がたまらない。(データはボカシ)

ソール・ライターは少し色褪せた写真が好みで、期限切れのフィルムもけっこう使っていたようだ。いろんな意味で当時の写真芸術の概念とか常識を軽やかに壊した一人なんだろうと思う。モノクロでも撮っているが、こと「世の中には色があるのに、そこに着目しないのは勿体無い」といった強い思いがあったようだ。

それは写真を見ればズドンと伝わってくる。色で構成された世界の美しさや立体感、時間感のようなものが信念の塊のように強い印象をもって見る者に「写真」を語りかけてくる。どう感じるかは、見る人それぞれのインスピレーション次第だが、これだけ世界で人気であるということは、かつて見たことのない世界なんだろうと思う。

いかんいかん、伝える語彙力に欠けるのに少し感想めいたことをのたまってしまった。申し訳ない。いずれにしてもこの写真集は買いだ。見ていると思わず没入して酸欠になるようなくらい、買いだ。いいものを見よう。そして、気分はソール・ライターになってカメラと街へ出かけるなんて最高じゃないか。そういうパワーに満ちた最高の写真集である。

★ちなみにソール・ライターは2006年からデジカメに移行して撮り続けていたそうである。そこには何の躊躇もなく、新しいモノ・コトには積極的に足を踏み入れていたようである。

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