写真家であり映像作家でもある奥山由之さんの写真集「君の住む街」をご存知だろうか。もしまだ知らないという人で、ふだんからエモい写真などを撮ったり見たりするのが好きな人は、もう絶対買ってください。素晴らしい写真集です。
この写真集は先日「復刻版」として新たに再販されたもので、¥3,500ほどで買えるので、写真集購入の鉄則じゃないけど、定価で安く入手できるうちに買っておくのが得策です。
この写真集の特徴は、奥山さんがポラロイドだけで何十人という女優さんの懐かしい姿と東京の街を撮ったところ。以前、雑誌「EYESCREAM」で連載された写真を一冊にまとめた貴重な写真集だ。
冒頭に「エモい写真」と書いたけど、主観がともなう写真の世界で、軽率に「エモい」なんて使うのはいかがなものかと思うけど、この奥山さんの写真はそういうのを超越したというか、これは正真正銘「エモい」と言い切っていいんじゃないかと僕は思ってる。
ページをめくるたびに、もう本当にその真四角の中の世界に没入していくじぶんがいる。写ってるのは女優さんらなのに、なぜか強烈にふだんの日常的シーンのスナップ写真に見えるのだ。
そりゃ有名女優さんたちを雑誌の企画でプロの写真家が撮影しているのだから、厳密にいえば企画性があり日常とは言えないかもしれない。でも、この写真集に写るすべての写真は、日々のなにげない断片に見える。いわゆるスライスオブライフだ。
これは凄いことだと思う。きちんと撮るとか、ちゃんと撮るなんてことじゃなく、目の前の空気感と感情を撮る、記憶をそのまま記録する、そんな感じ。奥山さんの凄さをあらためて感じた。
僕は奥山さんのフィルム写真が好きで、ベーコンアイスクリーム」も愛読書だけど、個人的にはそれを超えた、いやすべての世の中の写真集のなかでもいちばん好きな一冊になった。
当然ながら詳しい中身のことはここでは触れられない。もうこれは購入してもらうしかない。決して高価な買い物じゃないから、これはもう買ってください。そして、その感想をぜひSNSなんかで発信してください。
奥山さん、そして青幻舎さん、本当に復刻いただいてありがとう。僕はいま、ページをめくりながら、本当に何度も何度も感動しています。これぞ写真であり、写真を撮ることのエネルギーを強烈にもらった気がしています。恐れ多いけど、撮ろう。
◎あゝ真四角写真が撮りたくなったな。
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