本と音楽と余暇

たしかにこんな一冊が欲しかった。新書籍「アジアンMFレンズ・ベストセレクション」。

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2/26発売「アジアンMFレンズ・ベストセレクション」表紙より

昨日まで開催されていたCP+ 2024の会場では特別に先行販売されていた新刊本「アジアンMFレンズ・ベストセレクション」が本日からAmazonなどでも販売開始になっていたので、早速、僕も電子版を購入してみた。

レンズの作例確認という意味では、写真関連本は紙に印刷された書籍のほうが良いんだろうけど、僕は「いつでも、どこでも、読んだり眺めたりできる」というのが好きで、こうして電子版にて購入することが多い。

この本の内容はまだしっかり読み込めてはいないので、きょうのところは「こんな本が発売されてましたよ」という紹介まで。興味のある人は以下の玄光社さんのサイトで詳細内容をチェックしてみてください。

で、このブログのほうでは、僕がなぜこの本を購入しようと思ったのか、ということについて少し触れておきたいと思う。

この本はタイトルにある通り、アジアのマニュアルフォーカスレンズを集めたものなんだけど、具体的にいうと中国、台湾、香港などの、いわゆる中華製レンズといわれる製品を紹介した一冊だ。

で、僕は昨年あたりから、こうした中華製レンズのおもしろさに注目して(気づいたというニュアンスが近いかな)、TTArtisanや7Artisansのレンズを使い始め、いまはさらに新しく国内販売され始めたAstrHoriやMr.Dingのレンズを楽しんだりしている。

OLYMPUS PEN-F, TTArtisan 25mm f2 C

もともとフィルムカメラ時代のオールドレンズをM型デジタルやフジのミラーレスに装着して使い始めたのが最初だけど、それ以来すっかりマニュアルフォーカスのレンズの世界に惹かれて、フォクトレンダーやツァイスなどのコシナのレンズが僕のお気に入りのレンズ群になった。

コシナのレンズはほんと優秀で、値段も比較的安価なものもあるし、フォクトレンダーやツァイスといった銘柄は昔から思い入れや馴染みの感覚もあって、正直その頃は中国製レンズのことはほとんど興味を抱くことはなかった。どこか心の中で中国製のプロダクトに対する品質的な不安みたいなものもあったのかもしれない。

でも、なんでもそうだけど、食わず嫌いというのは本当にもったいない。ひょんなことから使ってみた中国製レンズの、その質感と値段を裏切る描写のおもしろさにちょっと常識感が狂うくらい驚いたのだ。

FUJIFILM X-T5, 7Artisans 50mm f0.95

もう少し正確にいうと、そこに「チャレンジスピリット」をとても色濃く感じた、というニュアンスが近いと思う。いかにも無類のカメラ好き・レンズ好きな人たちが「安くて、でも写りは決して犠牲にしない、ユニークなレンズを世界の人たちに提供して、写真の世界をもっと広げるんだ」という気概とか心意気といえばいいのかな。そういう精神をすごく感じた。

それって、それこそ昭和の頃に、日本のカメラメーカーの技術者たちが通過してきたチャレンジスピリットに近いんじゃないか。そんなことを連想して、個人的には思わず共感するというか、応援したくなる気持ちが芽生える。それが、僕がいま、中国製レンズとの時間を楽しんでいる根底にある。

写真のおもしろさは何も精密に撮ることだけじゃない。しっかりとした描写を求めるならそれこそボディとセットで開発された純正レンズがあるわけで、そうした描写もメーカーのシステムの思想が感じられるわけだけど、そうじゃない描写も時として楽しみたくなるのだ。

AstrHori 50mm f1.4, FUJIFILM X-T5

それが、精密さとは異なるユニークさであり、味わいであり、ある意味、現代においては非日常的な描写。それがオールドレンズの世界への興味関心であり、サードパーティ製のレンズに求める「おもしろさ」であり「遊び心」だ。

そんな感慨深さを新品のレンズでも感じさせてくれるのが、僕の中の中国製レンズたち。気分までおもしろがらせてくれるのが、なんともヤンチャで素敵なのだ。

こう書くと、なんか遊び心みたいな部分だけフューチャーされてしまいがちだけど、作りの良さも多くの人が驚くレベルにあるのがいまの中国製レンズのすごいところ。その一端を、この本を眺めることできっと感じとることができると思う。

MR.DING Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II, Leica M8

なんか精神論みたいな話になっちゃったけど、写真のおもしろさはそうした気分みたいなものが写り込むことだとも思っている。

オールドレンズや日本製レンズとの違いも含めて、アジアのベンチャーな人々が作り出すレンズの世界を一度のぞいてみるのもおもしろいと思う。少なくとも僕は、ライツのレンズを楽しむのと同じくらい、いまの中国製レンズのヤンチャな香りにワクワクしている。その未来もまた、楽しみでならないのである。

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