三連休が明けて、さて鞄にどのスナップシューターを忍ばせて出かけようかと考えたんだけど、きょうは初代APS-CのRICOH GRを持ち出すことにした。
それは圧倒的な軽量コンパクトさもあるけど、それ以上に「とにかくラフに気楽に撮りたい気分」だったからだ。
そう、デジタルのGRにはファインダーが無い。だから、おのずと撮影スタイルはファインダーをのぞくあのワンアクションは無くて、ひたすらスマホカメラで撮るようにラフでスピード重視の撮影になる。
いや、もちろんじっくり構えて撮ることもできる。でも、そういう気分であれば、僕の場合はFUJIFILM X100VでありX-E4を持ち出す。
この2台にしたって、ストリートでスナップする時はファインダーを覗かず撮ることも多い。つまり、どうせファインダーをのぞかないのなら、最初っからファインダーレスのGRでいいじゃないか、ということになる。
きょうの僕はまさに、ファインダーを無いものとして撮りたいくらい、ラフでいたい気分だったのである。
ファインダーが無いことの恩恵は、ストリートスナップにおいては計り知れない。その分、とにかく小型のカメラといることができる。それだけで身も心も軽くなることは紛れもない事実だ。
そして、そのことは足取りをも軽くする。少し遠回りしたり、少しふだん撮らないような角度からカメラを構えたりする。カメラが変わると、確実に行動も変わるのだ。
GRというカメラは、そうした「ファインダーをのぞくカメラらしさ」よりも、持ち出しやすく、取り出しやすく、瞬間的にスナップを撮ることに全神経を注いで設計されている。
その、あまりに潔いカメラのあり方が、このうえないスナップ体験をもたらしてくれる。それでいてGRレンズの描写は研ぎ澄まされたようにクールな絵を封じ込める。
ファインダーのないコンデジは他にもあるけど、ある種、平均的とかバランスなどの言葉には背を向けて、ひたすらスナップシューティングすることだけに振り切ったカメラというのは、やはりGRだけだろう。
GRの購入を検討している人の中には、やはり「ファインダーの有無」を迷ってる人もいると思う。10万円もするコンデジを手に入れるにあたり、本当にファインダーが無くていいのかと。
なんだったらファインダーのあるコンデジで同程度の金額のカメラだって他にもある。それで、本当にGRを選んでもいいのかと。
それに答えるとするなら、まったくもって「GRでよい」し、GRじゃないと構えないシーンというのがけっこうあることにも気づくだろう。
でも、おそらく後悔しないだろう。なんなら、ファインダーの有無さえ気にならなくなるくらい、ストリートスナップに夢中になることだろう。
GRとはそういう無意識にスナップを楽しむカメラだし、無意識にならない余計なものはすべて排除して、撮り手を徹底的にスナップすることに没頭させる。その時間の流れ方がカッコいいのである。
まあ、あくまで僕の私見だけど、ファインダーが無いことで一度は手放した僕が、再びGRを手にしていることを考えれば、「それでもGRをそばに置いておきたい」と思わせる強烈な魅力が、このGRにはあることをなんとなく感じ取ってもらえると思う。
撮りたいと思わせる光景は、ある時瞬間的におとずれる。その時に即座に準備しシャッターが切れるか?。ただひたすらにそういう性能を求めてるなら、GRは1ミリも後悔を想起させない力がある。
迷う時間さえ与えない、少々ピントが合ってなくても気にもさせない究極のスナップシューター、それがRICOH GRなのだ。