僕のRICOH GRは、GRがAPS-Cセンサーサイズになった初代のリミテッド・エディションで、登場は2013年ともうすぐ10年もののカメラになるんだけど、これがいまだにまったくと言っていいほど不満のないレベルで、GRの基本性能の高さがとんでもなく高いレベルにあることが分かる。
その完成度の高さからさらに熟成の域に達しているのが現行のGRIIIとGRIIIxなんで、初めてGRに触る人がとんでもなく感動する気持ちはとてもよく分かる。なんだ、この恐ろしく精密な写りとスナップシューターとしての完璧なまでの動作性能は!と、軽い衝撃を受けるレベルだろうと思う。
GRはファインダーの無いコンデジなんで、購入にあたってはそこを気にする人もいるだろうけど、スナップシューターとしてここまで極まると、不思議とファインダーの無いことすら不満に感じない気持ちよさがこのカメラにはある。そのスナップを刻むリズムがあまりにも心地良すぎるためだ。
GRに関しては、僕は「別腹」だと思っている。比較対象の無い、唯一無二の存在。その頑固さすら感じる変わらないデザインや思想は、登りつめたモノだけが持つオーラや迫力を放つ。そういう孤高の存在感もまた、このカメラを所有する抜群の満足感をもたらす。
スマホカメラに対抗して、カメラがどんどんハイテク化して価格も上昇するなかで、このハイレベルなRICOH GRが現行品でも10万円プラスαで手に入れることができるのは、ちょっと価格破壊ではないだろうかとすら思える。いや、お世辞抜きで僕はカメラ界の良心でもあると思っている。
このカメラを持ってひとたびストリートに出れば、気分は一瞬のうちにスナップフォトグラファーになる。ソノ気にさせるその実力は、カメラの中の最高性能といっても過言では無い。
ただ、このフィジカルな気持ちよさは、なかなか店頭で触っただけでは感じづらい。GRだけは、思い切ってまず手に入れて、ストリートでその性能を体感する、これに限る。そのずば抜けた「質」に高揚し、カメラを肌身離さず持ち歩いて楽しむ人が、一人でも多く生まれるとカッコいいなと思う。