
威圧感やさりげなさの有無については、人それぞれ感じ方も違うから、これはあくまで僕個人の感想程度に受け取ってもらえたらと思う。
OM SystemからOM-3が販売開始になって一ヶ月ほどが経過した。幸い我が家には発売日に公式オンラインストアさんが届けてくれたので、僕自身も丸々一ヶ月OM-3を使ってきたことになる。
なぜOM-3に惹かれたのか?みたいなことは過去にも何度か書いているので、ホットな心情みたいなのは、発表時や届いた日のブログのほうが思いが伝わるかもしれない笑


このOM-3というカメラと、新発売となった2型のM.Zuiko 単焦点レンズを使ってみていちばん印象深いのは、まさにタイトルに書いたこと。「威圧感のないさりげないカメラ」と過ごす、これまたさりげない日常とその記録ということになるだろう。
僕はいろんなブランドのいろんな機種のカメラを使うんで、そういう意味では自然と各種製品を比較しているところもある。僕自身が全般的に「さりげないカメラ」が好きなのもあるけど、OM-3はその中でも特に「その、らしさ」が濃い気がしている。
カメラ好きな人間からすると、カメラは体の一部であり生活の一部かもしれないけど、カメラを普段使わない人からすると、生活シーンのなかで見かけるカメラや撮影している姿はちょっと異物でもあったりすると思うのだ。
特に街中や人が多いところで、ちょっと目立つようなカメラを構えている姿は、よほどの観光地でもない限り、周囲に少し緊張を与えるというか、見方によっては威圧感を感じさせたりするのは、やっぱり少なからずあると思うんだな。
例えば僕は毎日、家の近所をなにかしらのカメラを首からぶら下げて散歩スナップしてるけど、郊外の静かな住宅地だったりするから見慣れない人だと「カメラを持って徘徊している怪しい人」と思われることもなくは無い。幸い僕はもう近所の人に「いつもカメラで道端の自然などを撮ってる人」と認識されてるから、まあ大丈夫なのだけど笑
でも、たしかに、これが不特定多数の人たちが行き交う場所で、ちょっと大ぶりなカメラで望遠レンズなどをつけた感じだと、良くも悪くも目立って、見る人によってはいつもの風景じゃない異物が入り込んだ景観に感じられることもあるかもしれない。いや、あるんじゃないかなと僕は感じている。

だから、別に後ろめたさがあって隠れるとかいう意味では決してないけど、不特定多数の人々が大勢行き交う場所では、できるだけ周囲に溶け込んで威圧感を与えない機材といっしょに歩きたいなという思いがある。写真を撮る側の配慮というか、心遣いというか。
別にそうやって注意されたわけでもないけど、そういう気持ちは公共の場でカメラを構える人間としてはエチケットだと思ってる。このあたりは、人それぞれいろいろ感覚に違いがあるかもだけど、まあ僕の場合の思いみたいもんです。
そんなこんなで、僕自身はこれまで街中でストリートスナップを撮る時なんかは、一度も一眼レフ機を出動させたことはない。正確にいうと、フィルムカメラ時代の一眼レフ機は持ち出したことはあるけど、それはじぶんのなかで「この大きさや見た目なら威圧感や違和感はないだろう」という思いで判断してるんだよね。
だから、デジカメでいうと圧倒的にコンパクト気味なモノばかりでスナップしている。RICOH GR、SONY RX100M3、PENTAX Qシリーズ、あとはM型ライカ、FUJIFILM Xシリーズ機、そして今どきでいうとこのOM System OM-3といったところ。このあたりのカメラなら、撮り方に気をつければ街中にある程度自然に溶け込めるかなと。
ちょっとテーブルの上なんかに置いておいても、さりげなく置かれてる感じが絶妙というか、仮にカメラを持ち歩いていない人と席を共にしても、その人にも必要以上にカメラを意識させないさりげなさというか。そういう、あえて押し出しの強さみたいなものを抑える感覚というのは、公共の場でシャッターを切る人間としてはとても大切な意識だと思っている。
周囲に人がいなければね、それはもう思う存分、大ぶりな迫力ある機材を大胆に構えて撮ればいいわけだけど、カメラをやらない人と同居した空間では「さりげなさ」はかなりの最高性能になるという話。まあ、あくまで僕のものさしの話です。

ちょっと話がそっちに行っちゃったけど、まあ要するに、OM-3に話を戻すと、その存在感がとてもいい塩梅のカメラなのである。どこに連れて行っても、その日のファッションの一部のように溶け込んでくれている気がするし、それでいて中身の性能はOM Systemのフラッグシップ機とほぼ同じなのだから、これはコンデジと比べても「強い」。
僕はかつてのPEN-Fにそんな魅力を感じていたけど、それがさらに中身がパワーアップしたのがOM-3だと感じているから、感覚的にはフジ機と同じ立ち位置的に、レンズ交換ができるスナップの王道カメラだと感じている。もちろん、同じような解釈ができるコンパクトで威圧感のないカメラは他にもあるけど、好みも含めて僕の場合ということで。
フルサイズ機でもSIGMA fpなら同じような感覚で持ち出せるけど、fpの場合はファインダーが基本無いので、そのあたりのことを考えてもOM-3はなかなか絶妙なポジションのカメラだなと思ってる。僕がいまだにAPS-Cのフジ機をこよなく愛するのも、そのあたりの絶妙な大きさや佇まいによるところが大きい。

なので、同じような感覚でジャストサイズのカメラを探している人がいたら、そんな人にはこのOM-3は特におすすめかもしれない。どこにいても世の中に自然と溶け込めるような存在のレンズ交換式カメラ。いろんなカメラを触っていると、その「絶妙さ」みたいなことはカメラの重要な性能だと思うようになったんだよね。
ちょっと個人的な感想が過ぎたかもしれないけど、ひとりのアマチュア写真愛好家の実感ということで。もしお店で見かけることがあったら、ぜひ一度、OM-3の「らしさ」みたいなことを確認してみるといいんじゃないかな。グッとくる人には、かなり一生の友のような存在のカメラになるんじゃないかと思う。