いやあ、これまた文句なくカッコいいルックスといっていいだろう、オリンパスが作ったズームコンパクト Stylus SH-1である。
いやもう言い訳はしない。今年はもうカメラを増やさないと誓ってたけど、これは正直、入れ替えではなく買い増しだ。
だって、しょうがないだろう。こんなクールな佇まいのカメラが目の前に現れて、しかも破格といっていい値札をぶら下げてたら、男子たるもの、まあ連れて帰る。
写真だと大きさは分かりづらいと思うけど、いわゆるコンデジよりわずかに大きい感じかな。それもそのはず、なんとコイツには35mm伴換算で25mm-600mmのズームレンズが格納されているのである。
しかも手ぶれ補正が効くんで、その気になればありとあらゆるシーンがこれ一つで撮れてしまう。まさにスマホカメラが台頭した時にその対抗策として盛られた、成熟期のコンデジといっていいだろう。
このStylus SH-1が登場したのは2014年。いまから8年前のカメラだから、僕のものさしだとオールドデジカメの域にそろそろ突入する世代のカメラになる。そう、僕にとっては、いちばん美味しい時期のカメラだったりするのである笑。
いわゆるコンデジだから、なにもそこまでする必要はないだろうと思うけど、このStylus SH-1のボディには合皮だけど革張りのようなデザインが施されている。いかにもオリンパスらしいこだわりで、金属部分とのツートン仕上げが、このクラシカルな雰囲気を醸し出している。
もちろん、異常に軽くコンパクトだ。これで600mmまで使えるというのも暴力的で、その羊の皮を被った狼的な仕様が、なんともストリートスナップの楽しさを予感させる。
オリンパスというブランドは、やはり根底に伝説の米谷さんの思想が流れているというか、コンパクトなカメラに施す美しさとユニークさは独特なものがある。
僕はフィルム機のOM-1、ミラーレスのPEN-Fのユーザーでもあるが、このコンデジStylus SH-1にも共通する美学を感じる。とにかく美しくカッコいいのである。
ストラップの取り付け位置がハンドストラップ用というより、通常のカメラのように両サイドに用意させているんで、小さいながらも本格的カメラとして使ってほしいというメッセージも感じる。僕はそれに従って、コイツはネックストラップで使いたいと思っている。
ファインダーが無いカメラということでいえば、僕の場合はRICOH GRがある。それこそハンドストラップでヒュンヒュン撮るならGRが優秀だ。でも、もし同じくらいの大きさでズームレンズなら…と思ったことがある人は少なくないと思う。
そう、Stylus SH-1はそういう人のための渾身のズームコンパクトなのである。
背面モニターを見ながら、時にズームを駆使して街の違った表情を切り取る。まさに正月休みにNetflixで見た森山大道さんのドキュメンタリー映画に出てくるズームコンパクトの世界である。
あの映画を見てから、僕はすっかりズームコンパクトにやられてしまっている。もう台数を数えるのは恥ずかしいが、間違いなくズームコンパクトの楽しさを見出しつつある。この世界はハズレが無い。
まあ、万人に勧めるものかどうかは分からないが、一度でも手にすれば街撮りスナップの概念が少し変わるはずだ。僕のようにね。