RICOH GR digital III写真のカメラはRICOH GRだが、現行のAPS-Cのモノではなく、2009年夏に発売された小さなCCDセンサー採用の〈GR digital III〉である。GRのデザインがいかに変わっていないかがわかる一枚みたいな感じだが。
しかし、見た目は同じに見えても、APS-CのGRのような深いボケは出せないし、白飛びもしやすい。AFスピードを含め、各スイッチ類の挙動も少々緩いが、この時代のカメラを触っていると妙に愛らしいというか、親しみを感じる。
それは、ぼーっとして撮るとなかなか現代のカメラのようには良さげな写真は撮れなくて、何度も何度も失敗を繰り返し、カメラの癖とか得意領域を試行錯誤して理解し、じぶんなりの工夫を加えていって「よっしゃと思う一枚」を紡ぎ出すのが楽しいのだと思う。
とはいえ、失敗写真たちといっても、それは今風でいえば「よく写り過ぎないエモい写真」かもしれないから、なんというか、時代が追いついてきたみたいなおもしろい感覚もある。
RICOH GR digital IIIと後付けファインダーGV-2
RICOH GR digital III
RICOH GR digital III
RICOH GR digital IIIそんなこんなでか、少し前なら中古で一万円程度で買えたGR digital IIIも、いまや何倍かの値段になっているから、オールドコンデジブーム恐るべしだけど、個人的には若い人たちにどんどん可愛がってほしいから、いたずらに高騰してほしくないなあ。
この時代のコンデジになると、ボディに少々傷や凹みがあってもそれがレトロで味になるし、それこそぶつけたりするのを気にせずにガンガン使い倒せる。そういう「大事に扱い過ぎない」というラフさも「写り過ぎない」のと同様に人気の理由なのではないだろうか。
RICOH GR digital III
RICOH GR digital III
RICOH GR digital III
RICOH GR digital III感覚的には、スマホカメラと高性能カメラの間を埋める、ほどよいポジションのカメラというのが、なんか支持を集めつつあるなあと感じたり。そう考えると、かつて手放したり、自宅の押し入れに眠っている昔のカメラたちで「いまなら逆に新鮮かも」と思うカメラはいくつも思い浮かぶのでは。
そんなカメラたちを探しに、近くの中古カメラ屋をのぞいてみるのも楽しいかもしれないね。で、この夏は、海や山で雨風を気にせずガンガン使える古いコンデジと思い出を残す。そう、青春をカメラで取り戻すのだ笑
